編集部からのお知らせ

需要家も取引できる「再エネ価値取引市場(仮称)」とは?

需要家による再エネ価値の調達をしやすくするため、経済産業省が新たな市場を創設する意向だ。新市場は、現在運用中の非化石価値取引市場に設けられるとみられる。カーボンニュートラルの実現に向け、需要家の電力調達の脱炭素化を加速する狙いがある。

カーボンニュートラル達成には
電力調達の脱炭素化が重要

カーボンニュートラルの実現に向けて、電力調達を脱炭素化するというニーズがさらに高まると予想されている。再エネ由来の電力100%での事業運営を目指す国際イニシアチブRE100の参加企業は、2021年7月12日時点で57社にのぼる。

こうしたニーズに応えるために、経済産業省は需要家が再エネなどの環境価値を調達する手段を充実させようとしている。具体的には、小売電気事業者しか参加が認められていない「非化石価値取引市場」に新しい取引の場をつくり、需要家も参加できるようにする方針だ。

非化石価値取引市場とは、再エネや原子力などの“非”化石電源がもつCO2を排出しないという価値を非化石証書として取引できるようにした仕組みだ。現在、需要家が再エネ価値のある電力を調達するには、小売電気事業者を通して電力と非化石証書をセットで購入するなどしなければならない。

需要家も参加できる新市場
2021年度後半にも試行運用か

新たな市場として検討されているのは「再エネ価値取引市場(仮称)」だ。FITによる非化石証書を対象に、需要家も参加できる市場になるとみられる。なお、現在の非化石価値取引市場は「高度化法義務達成市場(仮称)」として、非FITによる証書の取引に限定して継続される予定だ。

(出典:経済産業省)

欧米では、電力から環境価値を切り離して取引する市場がすでに形成されている。特に、アメリカでは仲介業者の市場参加も認められている。日本もこれにならい、取引をスムーズにするために仲介業者の参加も認める方向で検討が進む見込みだ。

「再エネ価値取引市場(仮称)」は、2021年度後半からトライアルとして運用されるスケジュールが示されている。

DATA

経済産業省:制度検討作業部会


文:山下幸恵(office SOTO)

関連記事

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 東京都の2024年度予算案 次世代太陽電池やアグリゲーションビジネスを支援...
  2. 【 参加受付中!】2024年4月23日(火)「第29回PVビジネスセミナー」~ 市場動向/PPA・蓄電池の最適化モデル ~...
  3. 新・出力制御対策パッケージ。「蓄電池の活用」を強化へ
  4. 太陽光発電所 銅線ケーブルの盗難被害が相次ぐ 銅の価格上昇が背景に
  5. 2024年度の脱炭素ビジネス【発電側課金・脱炭素オークション・非化石価値取引】...
  6. グリッドコードとは? 太陽光発電事業者も知っておくべき系統運用の新ルール...
  7. 太陽光発電所の盗難被害が急増 外国人グループの犯行か
  8. パワーエックス 2024年半ばから水冷蓄電池モジュールの量産化へ
  9. 脱原発完遂のドイツの電源構成、どうなるエネルギー費の再高騰リスク?
  10. 動き出した国の蓄電池産業戦略 官民一体で生産基盤を強化
太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.48 | ¥0
2024/01/31発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ