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第6次エネルギー基本計画の素案まとまる! 2030年エネルギーミックス暫定版も提示

経済産業省が7月21日、「第6次エネルギー基本計画」の素案を公表した。中長期のエネルギー政策の根幹をなすものだ。昨秋、菅政権が表明した「2050年カーボンニュートラル」を受けて、どのような内容が盛り込まれるか注目されていたが、ついにその骨子が明らかになった。

第6次エネルギー基本計画の
素案の概要とは?

新たなエネルギー基本計画(素案)では、「2050年カーボンニュートラル(2020年10月表明)」、「2030年温室効果ガス46%削減、更に50%の高みを目指して挑戦し続ける新たな削減目標(2021年4月表明)」の実現に向けたエネルギー政策の道筋を示すことが重要テーマとなっている。

エネルギー基本計画(素案)全体は、次の7つのパートから構成される。

①東電福島第一原発の事故後10年の歩み、②第5次エネルギー基本計画策定時からの情勢の変化、③エネルギー政策の基本的視点(S+3E)の確認、④2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応、③2050年を見据えた2030年に向けた政策対応、⑥2050年カーボンニュートラルの実現に向けた産業・競争・イノベーション政策と一体となった戦略的な技術開発等の推進、⑦国民各層とのコミュニケーションの充実。

ここでは、2050カーボンニュートラルを実現するための方針と、2030年に向けた電源ごとの政策のポイントについて概要を記す。

カーボンニュートラルが
達成された社会の姿

素案では、2050年カーボンニュートラルが達成された社会におけるエネルギー需給構造を以下のように描く。

●徹底した省エネルギーによるエネルギー消費効率の改善に加え、脱炭素電源により電力部門は脱炭素化され、その脱炭素化された電源により、非電力部門において電化可能な分野は電化される。

●産業部門においては、水素還元製鉄、CO2吸収型コンクリート、CO2回収型セメント、人工光合成などの実用化により脱炭素化が進展する。一方で、高温の熱需要など電化が困難な部門では、水素や合成メタンなどを活用しながら、脱炭素化が進展する。

●民生部門では、電化が進展するとともに、水素や合成メタンなどの活用により脱炭素化が進展する。運輸部門では、EVやFCVの導入拡大とともに、炭素を活用した合成燃料の活用により、脱炭素化が進展する。

●各部門においては省エネルギーや脱炭素化が進展するものの、炭素の排出が避けられない分野も存在し、それらの分野から排出される炭素に対しては、DACCS(Direct Air Carbon Capture and Storage)やBECCS(Bioenergy with Carbon Capture and Storage)、植林などにより炭素が除去される。

2050年カーボンニュートラル
実現に向けた課題と対応

こうした社会の実現に向けては、温室効果ガスの8割を占めるエネルギー分野が重要であるとして、産業界、消費者、政府など国民各層の総力を挙げた取り組みが必要であると訴える。 

電力部門については「再エネや原子力などの実用段階にある脱炭素電源を活用し着実に脱炭素化を進めるとともに、水素・アンモニア発電やCCUS/カーボンリサイクルによる炭素貯蔵・再利用を前提とした火力発電などのイノベーションを追求する」。 

非電力部門は、「脱炭素化された電力による電化を進める。電化が困難な部門(高温の熱需要等)では、水素や合成メタン、合成燃料の活用などにより脱炭素化。特に産業部門においては、水素還元製鉄や人工光合成などのイノベーションが不可欠」であるとする。

従来の発想を転換し、積極的にカーボンニュートラルへ向けた取り組みを行うことで、産業構造や社会経済の変革を産み出し、次なる大きな成長につなげる「経済と環境の好循環」を作っていくことを目指している。

そして、「2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、電化の促進、電源の脱炭素化が鍵となる中で、再生可能エネルギーに関しては、S+3Eを大前提に、2050年における主力電源として最優先の原則の下で最大限の導入に取り組む」と明記。「水素・CCUSについては、社会実装を進めるとともに、原子力については、国民からの信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していく」とする。

エネルギー需給の見通し(エネルギーミックス)暫定版


⇒再エネの電源構成比率は約36~38%に(2030年度)

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