スマート関連

欧州一の売上を誇るSonnen社の蓄電池システムとは?

再エネのさらなる導入に向けて、今後の普及が求められる蓄電池。SOLAR JOURNALで「再エネの道標」を連載中の北村和也氏に、欧州で普及が進むSonnen社の蓄電システムについて聞いた。

Sonnen社を蓄電池メーカーだと思っている人が日本では多いかもしれないが、同社の特徴は蓄電池の性能にあるのではなく、再エネ導入の決め手ともいえる「柔軟性」の提供にある。Sonnen社が、いかに進んだコンセプトを持って2010年の創立から短期間で欧州一になったかをまとめてみたい。

インターソーラーでの
Sonnen社の存在感

ミュンヘンで5月末に開かれたインターソーラーは、7つのホールのうち3つが蓄電池関連となり、集客力も含めてメインは太陽光パネルから蓄電池へと移っていた。Sonnen社は、一昨年のエントランスから一番近い花形ブースではないものの、展示内容などで高い注目を集めており、存在感は群を抜いていた。

Sonnen社の本社は、ミュンヘンから電車で1時間半ほどのバイエルン州南西端の小さな町ヴィルトポルズリートにある。この町は、人口3000足らずにも関わらず、再生可能エネルギーで需要の700%もの電力を生み出す欧州有数の先進エネルギー自治体である。私もこれまで10回近く訪れ、SOLAR JOURNALでも何度か紹介している。


Sonnen社の本社(ドイツ、ヴィルトポルズリート)

2016年末時点での同社のプロフィールであるが、資本金10億円、従業員300名で、売上はおよそ55億円となっている。

蓄電池システムと
「柔軟性」のコンセプト

天候に左右される再エネ発電をより多く取り込むために柔軟性が重要であるというのが、いまや世界のエネルギーの常識となっている。Sonnen社は、屋根置きの太陽光発電の余剰や不足電力を蓄電池で吸収したり放出したりするシステムの提供で柔軟性の確保に貢献していることになる。

一般に太陽光発電パネルを設置するだけでは、家庭で必要とする電力のおよそ半分程度しか補えないとされる。Sonnen社の蓄電池システムの導入でこれが80%までカバーできるようになるという。

達成の割合は、蓄電池システムの仕様や蓄電池の性能にもよるが、インターソーラーで競っていた各社の蓄電池システムは、ほとんどが1つの家庭内での蓄電池利用に留まっていた。

太陽光発電で100%の需要を
カバーする画期的なシステム

Sonnen社は、その先を走っている。
同社が昨年の初頭からスタートさせたのが「sonnenCommunity」というサービスである。これは、同社の蓄電池システムを導入した家庭をコミュニティとして繋ぐというコンセプトである。具体的には、蓄電池の充放電を各家庭内だけでなくコミュニティ全体の中で最適化するものである。この広い電力融通の結果、電力需給の過不足がさらに平準化され、100%太陽光だけで参加家庭の需要が賄えるようになるという。


sonnenCommunityのコンセプト図(Sonnen社のWEBサイトより)

すでに数千規模のシステム購入者がコミュニティに参加している。また、そのシステム運用には、ブロックチェーンの理論が使用されている。

さて、そのような使用、つまり、充放電の繰り返しに耐える蓄電池を求めた同社が使っているのは、ソニーの製品である。日本人として悪い気はしないが、日本がシステムやビジネスモデルを構築した側に回っていない点では大変残念である。

繰り返すが、蓄電池の価格や性能はもちろん重要ではある。しかし、Sonnen社はそのレベルでの議論を超えた可能性を持っているといって過言ではない。


文/北村和也
エネルギージャーナリスト。日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表。エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
◎日本再生可能エネルギー総合研究所公式ホームページ

関連記事

アクセスランキング

  1. 次の太陽光ビジネストレンドが見えてきた!
  2. 2017年度、これが新FIT買取価格だ!
  3. 太陽光の今がわかる「PVビジネスセミナー」10/16開催
  4. 大容量&低価格、テスラの新・家庭用蓄電池!
  5. ZEH時代到来! 太陽光発電は自家消費が基本!
  6. 太陽光発電はこれからが本番 目指せ発電比率30 %!
  7. 「HEMS × 蓄電池 × V2H」という住宅の新発想
  8. 小形風車の新定番? ダリウス型がやってくる!
  9. 太陽光は住宅用市場へ 鍵はテスラ・パワーウォール2
  10. 知らないと損する改正FIT基礎知識
The 9th Guangzhou International Solar Photovoltaic Exhibition 2017

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.22 / ¥0
2017年7月31日発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 太陽光業界最新ニュース