太陽光発電

ソーラーシェアリングの中心はアジア! 中国では50MWの巨大ソーラーも

「ソーラーシェアリングは今、日本や中国などアジアを中心に盛況している」と語る環境経営コンサルタントの村沢義久氏。中国ではメガソーラーシェアリングも建設されているが、今後はどのように普及してくのだろう。

ソーラーシェアリングは
アジアの知恵
中国の巨大施設を見学

2013年4月から正式に始まったソーラーシェアリング。ここまで順調に普及し、これまでの許可件数は1000件を超えているらしい。漢字では、「営農型発電」と表現されることが多いが、筆者は「農電併業」と呼ぶ。前者だと、発電が主役、営農がわき役であるようなイメージが、後者だと両者が対等に感じられるからだ。

2018年1月下旬、ファーウェイ社(華為技術:パワコン世界一)のアレンジにより、中国恵州市(深セン市中心部から北東へ約70km)にある出力50MWの巨大なソーラーシェアリング施設を見学した。

なぜ、広大な領土を持つ中国がソーラーシェアリングをやる必要があるのか。中国北西部の高原や砂漠地帯には数100MWクラスの巨大ソーラーが多数設置されている。筆者は2015年11月、やはりファーウェイ社の案内でチベット高原のゴルムド(青海省)にある500MW施設を見学している。また、寧夏回族自治区には2GWという世界最大の太陽光発電施設がある。

問題は、北西部の遠隔地から東南部の需要地に電気を送ると送電ロスが大きいこと。そのため、できるだけ都市近くに太陽光発電所を建設したいのだが、さすがの中国でも都市部は過密状態で土地の確保が容易ではない。そこで、注目したのが都市近郊の農地だ。

中国の巨大ソーラーシェアリング(50MW)。パネルの下ではショウガ、パッションフルーツなどを栽培。

恵州の太陽光発電施設は農業地域の真ん中に建設されている。中国でも、農地転用については日本と同様厳しい制限が設けられており、単なる太陽光発電への転用だとなかなか認めてもらえない。そこで、農業を継続しつつ、畑の上に太陽光パネルを展開して発電しようと考えた。日本のソーラーシェアリングと全く同じ発想だ。

ソーラーシェアリングで栽培される作物というと、日本では、茗荷、蕗、かんきつ類、茶などが多いが、恵州では、生姜、びわ、パッションフルーツなどが栽培されている。

50MWでも驚きだが、中国にはまだまだ大きいものがあり、最大のものとなると実に300MWで、パネルの下では薬草を栽培しているという。

農業も再生

今のところ、ソーラーシェアリングが盛んなのは、日中などアジアが中心のようだ。アメリカでは、「ソーラーシェアリング」というと、太陽光発電所の共同所有を思い起こすらしい。そもそも、アメリカでは農業は超大規模で巨大な農機を使うから、パネルがあると邪魔になって不可能だ。

中国以上にソーラーシェアリングが重要なのが、我が日本。日本の農家では、農業収入だけではやっていけないのが実情で、そのため後継者不足に悩んでいる。

そこで、農地の上にソーラーパネルを展開し、農業を継続しつつ、太陽光発電という「副業」で農業収入の不足を補おうというわけだ。「副業」と言いつつ、収入的には「本業」を大きく上回ることが多い。

例えば、1反(約1000㎡)の農地だと50kW程度の発電設備の設置が可能。2018年度の売電価格18円/kWhを当てはめると、年間100万円以上の売電収入が得られる。

ここからローンの返済分やメンテナンス費用などを引いても数十万円が利益として手元に残ることになる。「副業」で生活が安定すれば、安心して「本業」に取り組めるというもの。

これまでは、農地の一時転用の期間が3年と短く、事業者にとっては頻繁な更新手続きが負担であった。しかし、2018年5月には制度改正があり、許可期間が、条件付きながら10年以内に延長されたため、事業者にとっては随分取り組みやすくなった。これで、ソーラーシェアリングの本格普及に弾みがつくだろう。

 

プロフィール

環境経営コンサルタント(合同会社 Xパワー代表)

村沢義久

東京大学工学修士。スタンフォード大学MBA。経営コンサルティング会社日本代表、ゴールドマンサックス証券バイスプレジデント(M&A担当)などを歴任の後、2005年から2010年まで東京大学特任教授。2010年から2013年3月まで同大学総長室アドバイザー。2013年4月から2016年3月まで立命館大学大学院客員教授。現在の活動の中心は太陽光発電と電気自動車の推進。Twitterは@murasawa。

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