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コロナ禍がもたらす太陽光発電業界への影響と要望

新型コロナウイルスの感染拡大は、太陽光発電業界に様々な影響を及ぼしている。例えば運転開始遅延によってFIT買取期間が短縮される場合にはどうなるのか。一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)事務局長の鈴木聡氏に伺った。

>>関連記事「JPEAに聞く 新型コロナウイルスの太陽光発電への影響」はこちら

コロナ禍に起因する
運転開始遅延への救済措置

新型コロナウイルスの感染拡大は、太陽光発電業界に様々な影響を及ぼしています。JPEAでは、6月に開催された自由民主党再生可能エネルギー普及拡大議員連盟において、「コロナ禍がもたらす太陽光発電業界への影響と要望」について表明する機会を頂きましたので、その概略をお伝えします。

まず、認定済み案件については、運転開始遅延によるFIT買取期間の短縮が懸念されます。我々が行った事業者ヒアリングには、新型コロナウイルスのせいで「地元説明会が開催できない」「行政や金融機関との協議が進まない」「工事が一時的にストップした」などの声が寄せられました。コロナ禍により、やむを得ず着工や竣工が遅れているケースが発生しているのです。大規模土地開発の許認可取得のタイミングが年1回のケースでは、数ヶ月の遅れが、許認可取得と着工を1年遅らせる結果になることもあります。

事業者はFITの買取期間を前提に事業計画を立てていますので、買取期間の短縮は収益悪化に直結します。このことは金融機関等の投資判断にも影響を及ぼしてきますから、資金調達が厳しくなっていくことも想定されます。

こうした状況を踏まえ、JPEAとしては「コロナ禍の影響で運転開始が遅れFIT買取期間が短くなる場合は、当初計画された買取期間が維持されるように救済措置をとること」を要望しました。

柔軟なFIT制度運用と
非FITモデルへの転換支援

次に、認定前の案件に関しては、住宅用からFIT入札対象の大規模案件まで、新規案件開発のための活動が滞り、今年度のFIT申請数が大きく減少することが懸念されます。今年度のFIT認定申請の申込期限(12月下旬~1月上旬)まで、もう6ヶ月ほどしか残されていませんから、このままでは開発が間に合わず、申請できなくなってしまう案件が生じる懸念があるのです。

特に、自家消費率30%以上がFIT認定要件となり、ビジネスモデルの転換が求められている10kW以上50kW未満の小規模案件への影響は深刻です。また、FIT入札対象となる大規模案件に関しても、許認可手続きや環境アセスメント等に、より多くの時間を要するため、開発件数が大きく落ち込むことが懸念されます。

また、FITに依存しない自家消費型やCorporate PPA等への事業モデルの転換が、需要家による投資意欲の減退により進まなくなることも心配です。FIT、非FITともに、こうして新規案件が減少してしまっては、せっかく進んできたコスト低減も滞ってしまいます。太陽光発電産業のバリューチェーン全体において、事業縮小・事業撤退が起こることも懸念されてきます。

この悪循環を回避するためには、次の2つが必要であると考え、要望を出しました。「今年度のFIT買取価格の適用期間を来年9月まで延長する等、新規案件の創出・開発を下支えするFIT制度の運用」と「FITに依存しない事業モデルへの転換と新規案件開発を促す制度的支援(例:Corporate PPAモデル推進のための大規模補助事業等)」です。

人に優しいエネルギー社会
への転換点

日本は、コロナ禍を乗り越えて、再生可能エネルギーの主力電源化を推進していかなければなりません。太陽光発電には、その中軸として、さらなる導入拡大が求められています。JPEAは、今年5月に『PV OUTLOOK 2050』を発表しました。タイトルは“感染症の危機を乗り越え、あたらしい社会へ「太陽光の主力電源化への道筋」”です。その冒頭に、コロナ禍に対する我々の想いを記していますので、紹介させていただきます(下記)。

パンデミックを乗り越えて

●新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、人に優しいエネルギー社会への転換点
●拡大防止は、今後の感染症対策に留まらずビジネスやライフスタイルの新しい形や、デジタル化・省エネ・高効率化社会への変化する機会となり、エネルギー転換への加速が急速に進む
●新しい生活や行動によって、将来の脱炭素社会の実現
●国だけにまかせるのではなく、一人一人の活動や、ビジネスモデルを変えていくこと
●エネルギーを大切に使い、太陽光発電などの再生可能エネルギーを拡大し、暮らし方や、ビジネスを、脱炭素型に挑戦していくPV OUT LOOK 2050 は、社会が目指すビジョン

出典:太陽光発電協会『PV OUTLOOK 2050』

PROFILE

一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)
事務局長

鈴木 聡氏


1985年鐘淵化学工業株式会社(現 株式会社カネカ)に入社。研究開発部門、知的財産部門、研究企画部門などを経て、2019年6月より現職。


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.34(2020年夏号)より転載

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