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太陽光発電

出力制御のオンライン化、未実施の旧ルール事業者は社名公表を検討

太陽光などの再エネ発電設備を対象とする出力制御は、現在は九州エリアのみで実施されているが、今後は他のエリアへも拡大する見通しだ。経産省は全国の出力制御を低減するため、旧ルールのオフライン発電事業者を対象にオンライン化しない場合の“負のインセンティブ”を検討する考えだ。

オンライン化しない発電事業者
経産省が社名公表の可能性を示唆

再エネ発電の出力制御を低減するために、主に2015年1月25日以前に接続申込された旧ルール発電設備のオンライン化をさらに促進する取組みの方向性が打ち出された。

経済産業省が11月12日に開催した有識者会議では、九州エリア外でも出力制御を実施する可能性が高まっており、オンライン化のメリットを発電事業者に知ってもらうことが基本とされた。

その上で、メリットを認識してもオンライン化しない一定規模以上の発電事業者に対しては、事業者名の公表を検討すると示唆した。こうしたディスインセンティブ(負のインセンティブ)は、すでに出力制御が発生しているエリアに限って行う想定だ。

また、オンライン化しない発電事業者は、間接的に一般送配電事業者の調整費用を増やす可能性があるという指摘も挙がった。同会議では、年内を目処に基本的な方向性をまとめるとしている。

オンライン化のコストは高額
技術的な課題や通信環境の問題も

再エネ発電設備をオンライン化すると、オフラインの設備より出力制御の回数が減るほか、手動制御による現地対応の手間やコストの削減が期待される。しかし、オンライン化には設備更新のコストがかかるだけでなく、使用機器のメーカーが異なるケースなどでは技術的な課題も伴う。

一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA)は、旧ルールの太陽光発電設備において、オンライン化の初期投資は高圧設備で約200~600万円、特別高圧で約2,000~4,000万円と推測。発電事業者にとって費用対効果が明確でなければ投資は難しいと主張している。また、コスト以外にも、山間部の発電所などでは通信環境の整備が難しい場合もあるとした。

2021年7月末時点の新旧ルールの全国のオンライン化の状況は下表のとおり。太陽光発電の旧ルール事業者のオンライン化率は、北海道と九州で半数を超えているものの、それ以外のエリアは半数以下にとどまる。

(出典:経済産業省)

DATA

経済産業省 第33回 新エネルギー小委員会/電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会 系統ワーキンググループ


文:山下幸恵(office SOTO)

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