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国内最大の地銀融資でソーラーシェアリング

農地の上に太陽光パネルを設置する「ソーラーシェアリング」への関心が高まっている。高額な導入費用と資金調達が課題となるなか、小田原かなごてファーム(神奈川県小田原市)が、国内最大の地方銀行、横浜銀行から融資を受けて新たな太陽光パネルを設置し、関係者の注目を集めている。

横浜銀行の融資で
みかん畑にパネル設置


みかん畑で記者会見する関係者(神奈川県小田原市)

小田原かなごてファームの小山田大和代表社員が2月20日、横浜銀行や小田原市の関係者とともに記者会見し、事業の概要を明らかにした。計画では、小田原市矢作にある約2300平方メートルのみかん畑の上に、両面発電の太陽光パネルを178枚設置する。総事業費は約1800万円。国内最大の地方銀行、横浜銀行から500万円の融資を受けるほか、小田原市の脱炭素・再エネ推進補助金を活用する。今年3月から発電を開始し、新電力のグリーンピープルズパワーを通じて、同社のカフェなどへ送電する。

横浜銀行がソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)に融資をするのは今回が初めて。小田原かなごてファームの小山田代表社員は、「横浜銀行には、耕作放棄地を再生する取り組みや、SDGsを推進する取り組みを高く評価していただいた。これからも農薬を使わずに安全安心な農作物を生産し、持続可能な地域づくりに貢献していきたい」と意欲を示す。

太陽光パネルの設置
資金調達が課題


小田原かなごてファームの太陽光パネル

小田原かなごてファームは、農家の高齢化や担い手不足などで耕作放棄地となっていた農地を再生し、付加価値の高い農産加工品を製造することで雇用や産業を生み出し、持続可能な地域循環を創出することを目的に2014年に設立された。出資者や作業ボランティアを募り、耕作放棄地で栽培した農作物を原料にミカンジュースやえごま油などを販売している。

2016年には、耕作放棄地を再生した農地を活用してソーラーシェアリングを開始した。農林水産省の農山漁村振興交付金や神奈川県の地域主導再生可能エネルギー事業の補助金などの交付を受けて、太陽光パネルの設置箇所を増やしている。

ソーラーシェアリングは、農地に2メートル以上の支柱を立てて太陽光発電施設を設置し、下部の農地では農業、上部の太陽光パネルで発電を行う。農家の人達にとっては、新たに土地を取得しなくても太陽光発電事業に参入でき、農業以外の収入を得ることができる。しかし、設備の導入費用が高く、資金調達が難しいといった課題が指摘されている。小田原かなごてファームの小山田代表社員は、「横浜銀行からの融資がモデルケースとなり、ソーラーシェアリングへの意欲が高まってくれたらうれしい」と期待と寄せる。

DATA

合同会社小田原かなごてファーム


取材・文/高橋健一

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