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太陽光発電

【2023年度FIT/FIP】「屋根設置区分」とは? 事業用太陽光の変更点を解説

2023年度のFIT/FIP制度(事業用太陽光)には、屋根設置区分が新設されるという大きな変更点がある。それに加えて、FIT/FIPを単一の入札枠で競争することや、FIP入札の対象範囲が拡大されることなども押さえておきたい。

FIT/FIPで単一の募集容量
FIP入札は500kW以上に拡大

2023年度のFIT/FIP制度・事業用太陽光発電における変更のポイントは大きく分けて3つある。1つ目は、FIT/FIPを単一の入札枠で競争すること。2つ目は、FIP入札の対象範囲が500キロワット以上に拡大すること、3つ目は、新築の屋根設置案件も入札免除の対象となり、地上設置案件とは異なる買取単価が適用されることだ。

まず、FIT/FIPを単一の入札枠で競争することについて。2022年度の入札では、FITの募集容量が50メガワット、FIPが175メガワットと、募集容量がそれぞれ設定されていた。2023年度からは、募集容量をFIT・FIPで分けずに単一のものとして設定する。今年度初回の太陽光第16回入札の募集容量は、FIT・FIPの合計105メガワットとなっている。

2つ目のFIP入札の対象範囲については、昨年度の1,000キロワット以上から500キロワット以上に拡大される。FIT入札の対象範囲が250キロワット以上である点は変わらないため、FIT入札の対象範囲が段階的に縮小する形だ。なお、2024年度にはFIP入札の範囲が250キロワット以上に広がり、FIT入札の対象範囲はなくなる。

(FIT制度/FIP制度・入札の対象イメージ。出典:資源エネルギー庁)

新築の屋根設置も入札免除
2023年下期から12円で買取

3つ目のポイントは、既存の建築物だけでなく、新築も入札免除の対象になった点だ。既存の建築物については2022年度から入札が免除されていたが、この対象に新築の建築物も追加される。

また、2023年度の下半期から、屋根設置と地上設置で異なる買取単価が適用される。下表の通り、2023年度上半期には10〜50キロワットで10円/kWh、50キロワット以上で9.5円/kWhの買取単価が、下半期以降は50キロワットというボーダーラインがなくなって一律12円/kWhとなる。今年度は、上半期と下半期で買取単価が大きく異なるため注意を要する。

(FIT制度・FIP制度の2023年度における住宅用太陽光発電・事業用太陽光発電(入札対象外)の買取単価。出典:資源エネルギー庁)

新しい屋根設置区分の申請にあたっては、建物登記などの提出が求められる。具体的には、建物の登記簿謄本(申請日の3ヶ月以内に発行されたもの)、登記が完了していない場合は建築確認済証の写しおよび売買契約書、または請負契約書の写しとされている。詳細については、資源エネルギー庁のWEBサイトを確認してほしい。(参考:『再生可能エネルギー発電事業計画における再生可能エネルギー発電設備の設置場所について』資源エネルギー庁)

なお、ソーラーカーポートも屋根設置区分の対象に含まれる。自宅の駐車場にソーラーカーポートを設置する場合には、自宅に登記する必要がある。

DATA

経済産業省ホームページ

「太陽光義務化元年」と呼ばれる2023年。パネルの屋根設置や制度の見直し、蓄電池の導入促進といった国の新たな政策にどのように対応するべきか?来年度に導入される発電側課金はどのような仕組みなのか?地方自治体の政策担当者や再エネシステムの専門家を登壇者としてお迎えし、今後のビジネスチャンスを読み解きます。

 


取材・文:山下幸恵(office SOTO)

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