注目の小規模バイオマス発電がもたらすメリットは?
2017/12/26
大規模な木質バイオマス発電所を新たに計画するのは難しいと言われている。建設できる場所が減ってきていることもあるが、最大の理由は、既にFIT認定を取得している大規模案件が国の想定をはるかに超えているからだ。こうした状況にあって、注目を集めているのが小規模のバイオマス発電だ。今回は小規模設備がもたらすメリットをご紹介する。
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小規模バイオマス発電は
地域との共生によって成り立っている
注目を集める小規模のバイオマス発電。燃料となる未利用木材を安定的に調達しなければならないという難しさもあるが、森のエネルギー研究所の代表取締役である大場龍夫氏は、その難しさも含めて小規模設備をポジティブに捉えている。
「確かに燃料の調達は難しい問題です。太陽光発電など他の再生可能エネルギーとは、そこが根本的に違うところ。しかし、燃料調達が必要であるからこそ、木質バイオマスは、他の再エネにはできない地域貢献をすることもできるのです。これまで使い途のなかった未利用木材に燃料という商品価値を与え、林業を豊かにすることにも役立ちます。木材を燃料チップなどに加工するために、新たな雇用も生まれます。森林が整備され、仕事も生まれれば、地域社会は変わるでしょう。バイオマス発電の燃料調達は、それが地域に与える影響とともに考えていかなければなりません」(大場氏)。
そもそも木質バイオマス発電の燃料となる木材は、建材などに使われる良質なものではない。FIT区分上の未利用木材とは、切り倒されたまま山に放置されていた間伐材などを指す。木質バイオマス発電のためにいたずらに山の木を切り倒すわけではない。木質バイオマス発電は、森林を整備し、山を育てることに通じる営みなのだ。
木材を燃料に加工する過程にも様々なプロセスがある。地元材を使って、地元で加工すれば、雇用創出効果も大きい。発電に伴う熱は、地域の温浴施設で有効利用することも。
Profile
大場龍夫氏
森のエネルギー研究所 代表取締役
取材・文/廣町公則
『SOLAR JOURNAL』vol.23より転載