政策・制度

経産省、再エネ発電所を現地調査へ PPA案件を調査対象に追加

経済産業省は5月25日、再生可能エネルギー発電設備およびその周辺の現地調査を実施すると発表した。再エネ特措法に基づくFIT・FIPの認定計画との一致や、関係法令の遵守状況を確認するのが目的で、2026年度からはFIT・FIP制度を利用しないPPA案件なども新たに調査対象に追加される。

 

<目次>
1.FIT・FIP制度を利用しない PPA案件を調査対象に追加
2.外観調査は 抜き打ちで実施
3.事業者自身が主導して 法令遵守の再確認を

 

FIT・FIP制度を利用しない
PPA案件を調査対象に追加

 
2012年度に固定価格買取制度(FIT制度)が導入されて以降、我が国の再生可能エネルギー導入は太陽光発電を中心に急速な拡大を遂げてきた。しかし、その急激な普及の裏では、安全面や防災面、さらには景観や環境への影響といった多岐にわたる懸念が各地で噴出している。今後の再エネ導入をさらに推進していくためには、こうした地域社会における懸念や不信感を確実に払拭することが不可欠な課題となっている。

こうした背景から、資源エネルギー庁は再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(再エネ特措法)に基づき、発電設備やその周辺の現地調査を継続的に実施してきた。これにより、認定計画との不一致や関連法令の違反状況を精査し、適切な事業運営の確保に努めている。

さらに、昨今のエネルギー市場の多角化に伴い、2026年度からは新たな方針が打ち出された。これまで調査対象外であった、FIT・FIP制度によらない非FIT・非FIPの発電設備についても、設置に係る法令の遵守状況などを確認するため、同様に現地調査および周辺調査の対象に含めることとなった。これにより、PPA(電力購入契約)スキームなどを活用した民間の自主的な再エネ発電設備に対しても、国によるチェックの目が届く体制へと移行している。
 

外観調査は
抜き打ちで実施


日本全国に設置されている再エネ発電設備全般が調査対象

 
今回の現地調査は、資源エネルギー庁の新エネルギー課再生可能エネルギー推進室が主体となって実施する。具体的な実務においては、全国各地域の経済産業局資源エネルギー環境部(沖縄総合事務局においては経済産業部)が窓口となり、調査委託事業者として選定された一般社団法人構造耐力評価機構が全国の設備を対象に実地調査を担当する。

調査の方法は、主に「外観調査」と「立入調査」の2種類に分類されている。外観調査については、発電設備が設置されている事業地内には立ち入らず、敷地の外部から設備の設置状況や周辺環境への影響を確認する手法がとられる。この外観調査の最大の特徴は、事前に認定事業者や土地の所有者などに対して一切の連絡を行うことなく、抜き打ちの形で実施される点にある。事業者側の日常的な管理状態をそのまま確認することにより、形式的な対応にとどまらない実態に即した法令遵守状況の把握が行われる。

一方の立入調査については、実際に発電設備の敷地内に立ち入り、設備の内部構造やフェンスの設置状況、標識の掲示、防災上の安全対策などが適切に講じられているかを詳細に確認する。この立入調査を実施する際には、外観調査とは異なり、事前に認定事業者などに対して連絡が行われ、日程等の調整を経た上で実地での確認が執り行われる。

今回の調査対象となるのは、日本全国に設置されている再生可能エネルギー発電設備全般である。先述の通り、FIT・FIP制度の認定を受けている設備だけでなく、同制度を利用していない商業用や自家消費型の発電設備も一様に含まれる。調査期間は2026年5月から2027年3月までの約11ヶ月間にわたって計画されており、年間を通じて各地で順次調査が進行する。
 

事業者自身が主導して
法令遵守の再確認を

 
経産省および資源エネルギー庁は、今回の現地調査によって得られた結果をもとに、事業者に対して厳格な対応を行う考えだ。調査の結果、FIT・FIPの認定計画との不一致や、各種関連法令に対する違反、あるいは周辺環境への配慮不足などが確認された場合には、認定事業者に対して適確な事業実施に必要な指導や助言が直接実施される。さらに、事案の性質や重要度に応じて、自治体や専門的な権限を持つ関係行政機関に対して情報提供が行われ、それぞれの法令に基づいた行政処分や是正措置へと繋げられる仕組みとなっている。

国のこうした違反設備に対する取り締まりは年々厳格化の途をたどっている 。経産省が公表した実績によると、2025年度において、認定計画違反や関連法令違反などが明確に確認された再生可能エネルギー発電設備のうち、悪質な55件に対してはFIT・FIPの認定取り消し処分という非常に重い措置が下された。また、57件の設備に対しては、FIT・FIP交付金の一時停止措置が科されており、不適切な事業運営に対するペナルティは確実に実行されている 。

このような厳しい情勢下において、発電事業者や自治体の担当者に強く求められるのは、自社が関与する発電設備の自主的な総点検と、徹底したコンプライアンスの遵守である。とりわけ2026年度からは調査の網がFIT・FIP非該当の案件にまで広がっているため、全ての再エネ事業者が当事者意識を持つ必要がある。

具体的には、土砂災害警戒区域などの危険な場所に設置されている場合の防災対策、フェンスや立ち入り禁止標識の維持管理、太陽光パネルの反射光や景観をめぐる地域住民との対話など、安全面・環境面における課題をあらかじめ洗い出しておくことが求められる。指導や助言、あるいは不利益処分を受ける前に、事業者自身が主導して関係法令の遵守状況を再確認し、地域社会と調和した健全な発電事業の継続に努めることが重要である 。
 

DATA

再生可能エネルギー発電設備の現地調査を行います


取材・文:ソーラージャーナル編集部

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