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米国太陽光市場は転換期へ ネットメータリング制度の今

日本の余剰電力買取価格制度は国レベルで定められ、価格も全国一律である。一方、米国では、ネットメータリングと呼ばれる制度が州レベルで定められており、価格は電源構成や太陽光発電普及に対しての州政府、地域電力会社の入れ込み度によって大きく異なる。

ネットメータリング制度に「不公平」の声

ネットメータリングは今まで米国住宅用太陽光発電市場の成長に大きく貢献してきた。2015年、米国住宅太陽光発電市場は2 GWの設置容量を超え、4年連続で50%プラスの成長率を達成した(※全米太陽光発電協会(SEIA)と米GTM Research社の調査レポートによる)。しかし、近年における急速な分散化太陽光発電の普及拡大は、ネットメータリング制度の見直し、または廃止への動きを頻繁化させた。

制度見直しを推進しているのは大手電力会社で、以下のような主張である。「ソーラーの所有者は、システムで発電した電力で消費電力を相殺し、電気料金の支払いを減らせる。それは、従来電気料金に含まれる送配電網の運営や維持・管理など消費量に関係なく生じるインフラへの負担額を減らすことにもなる。その結果、ソーラーの非所有者への負担額が増え、不公平だ。したがって、電力の買取価格を下げるか、コスト負担料金を付け加えるべきだ」、というものである。

米国の分野別太陽光発電市場の実績・予測(2010~2021年)

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ハワイ州は遂に制度廃止他州も続くか?

現在、全米50州のうち、41州とワシントンDCがネットメータリング制度を導入している。ネットメータリング制度は基本的に、電力消費量を発電量で「1対1に相殺」するものだが、余剰電力の扱いは州によって異なる。例えば、月々の余剰電力量が半永久的に次の月に繰り越しができる州もあれば、1年( 12ヶ月)間の期限の終わりに余剰電力量がある場合、小売価格ではなく、卸価格で買い取られる、または無償で電力会社に渡されるという州もある。ハワイ州は昨年10月に、系統連系接続は継続して受け入れるものの、小売価格で買い取るネットメータリング制度を打ち切ることを可決した。同州はこの制度を廃止した米国
で最初の州になる。

ハワイ州は従来のネットメータリングに代わって、(1)自己供給と(2)グリッド供給という2つのオプションが導入された。「自己供給」は、ソーラーの全発電量を自家消費に充てるのが目的である。したがって、余剰電力はグリッドに送ることができるが、電力会社は買い取りする義務はなく、余剰電力は「無報酬」で送られる。「グリッド供給」は、グリッドに送られた余剰電力は小売価
格(約米38セント/ kWh)ではなく、より低い卸価格(米15〜28セント/kWh:地域によって異なる)で買い取られる。

さらに、どちらのオプションを選んでも、地元電力会社のグリッドメンテナンス用として、新しく月々「最低料金」として米25ドルが課せられる。つまり、システムが系統連系されている限り、発電量で全消費量を賄ったとしても、電気代はゼロにならず、最低25ドル支払わなくてはならない。

ネバダ州も昨年12月に、小売価格1対1のネットメータリング制度に終止符を打った。同州は今後12年間にわたり余剰買取価格を11セント/kWhから2.6セント/kWhに徐々に下げ、さらに特別固定料金を12. 75ドルから38. 51ドルに上げる計画である。さらに、新制度は制度成立後に接続されたシステムだけではなく、成立時にすでに発電されていたシステムにも適用される。

米NC Clean Energy研究所がこの4月に発表した「50州における太陽光発電 (the 50 States of Solar)」というレポートによると、今年の第1四半期(1月〜3月)になんと22州がネットメータリング制度の見直し検討、または見直しを行っていた。アリゾナ州も買取価格の低減、または特別料金を課すことなどを検討中で、今後の住宅用市場の成長を大きく揺さぶりそうだ。

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取材・文/モベヤン・ジュンコ

※『SOLAR JOURNAL』 vol.18 より転載

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