バイオマス

バイオマスのFIT対象拡大へ! 農作物残渣を新規燃料として承認

バイオマス発電の燃料は、木材から廃棄物、家畜糞尿まで多岐にわたる。これからは、さらにその対象が拡がることになりそうだ。昨年来、続けられてきた議論の内容を整理する。その意義と課題は、どこにあるのか?

燃料の多様化でコスト低減

FITの買取対象となるバイオマスに、新たな燃料が加わる。これまで、バイオマス発電の燃料区分は、「一般木質バイオマス」「バイオマス液体燃料」「未利用木材(間伐材等)」「建築資材廃棄物」「一般廃棄物・その他バイオマス」「メタン発酵ガス」に分けられていた。しかし、どこにも入れてもらえないバイオマス燃料も少なくなかったため、その取り扱いを巡っては経産省を中心に議論が進められてきた。とくに、「一般木質バイオマス」と「バイオマス液体燃料」に、どんな種類の燃料を含めるかが大きなポイントとなっていた。



2018年度のFITでは、「一般木質バイオマス」に含められる燃料は、主産物である「一般木材」と、副産物である「PKS(パーム椰子殻)」および「パームトランク(パーム椰子幹)」に限定されていた。また、「バイオマス液体燃料」として認められるのは「パーム油」だけだった。こうした状況に対し、バイオマス発電事業者からは、もっと多様なバイオマスを新規燃料として承認するよう求める声が上がっていた。

その理由をバイオマス発電事業者協会は次のように述べている。「将来のバイオマス発電の経済的自立(発電コスト削減)のため、発電コスト構造の中で最も大きな割合を占める燃料に関しては、より多くの選択肢を持ち、最も効率の良い燃料を選択できる環境となることが望ましい。また、FIT扱いとなる燃料種が増加することにより、燃料間での競争が働き燃料費の下落も期待できる」。

同協会では、新規燃料の具体例も示している。EFB(パーム椰子空果房)、ココナッツ殻、カシューナッツ殻、くるみ殻、ピスタチオ・アーモンド殻、ひまわり種殻、ネピアグラス、ソルガムなどだ。これらは、いずれも農作物の収穫に伴って生じる残渣等のバイオマスであり、大半が輸入を想定したものということができる。当該農作物の生産国で処理に困っていた残渣が、日本では燃料になるということで、双方にとってメリットがあるというわけだ。

現地の環境負荷への配慮を

しかし、農作物由来のバイオマスをFIT認定の対象とするには、十分な慎重さが求められる。バイオマス産業社会ネットワーク理事長の泊みゆき氏は、「原料や燃料加工プロセスによる生産国での環境負荷の実態や、持続的で安定的な供給が行われるかは現段階では不明。現地で環境負荷を高めてしまう可能性もある」と指摘する。

また、自然エネルギー財団が「資源量のアセスメントや想定されるリスクの分析を踏まえ、生産地におけるガバナンス強化など、包括的なアプローチが必要」と注意を促すなど、懸念する向きも少なくなかった。

持続可能性の確認を徹底

こうした認識も踏まえつつ、経済産業省では、FIT価格を検討する諮問機関・調達価格等算定委員会で議論を深めてきた。そして2019年1月9日、これまでの議論の結果を委員会意見として取りまとめた。その内容は表1の通り、「一般木質バイオマス」と「バイオマス液体燃料」に多様な新規燃料を認めるというもの。

表1:バイオマス燃料の分類


※出典:資源エネルギー庁

ただ、ここでは新規燃料を特定するとともに、それが主産物であるか副産物であるかによって、今後の取り扱いに含みを持たせた。そして、重視すべきキーワードとして“持続可能性”が掲げられることになった。

「現在のFIT制度では、燃料として一般木材およびパーム油を用いるものについては、国内燃料は森林法に基づいて持続可能性の確認を行い、輸入燃料は第三者認証により持続可能性を確認している。他方、PKSおよびパームトランクを用いるものについては、現時点では持続可能性の確認を行っていない」とした上で、新規認定については次の❶❷のように整理されたのだ。

❶主産物は、一般木材およびパーム油と同様に持続可能性の確認を行う。

❷副産物は、PKSおよびパームトランクと同様の取り扱いをすることとし、さらに、現時点では持続可能性の確認を行っていない既認定案件のPKSおよびパームトランクを含めて、今後は持続可能性の確認を行っていく。

とはいえ、持続可能性の確認方法はまだ決められていない。しかし、新たに検討の場を設けて速やかに決定する方針だ。そして、専門的・技術的な検討において持続可能性の確認方法が決定されたものについては、順次FIT制度の対象に加えられることになる。

なお、持続可能性の基準には、少なくとも表2の内容が盛り込まれる見通し。

表2:持続可能性の評価基準


※出典:資源エネルギー庁

食料との競合、燃料の加工プロセスにおける環境負荷、気候変動への影響、その他関係法令の遵守の観点を含めて、今後、詳細が詰められる。

再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、バイオマス発電も新たなにフィールドに踏み出すことになりそうだ。


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.28(2019年冬号)より転載

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