【PVビジネスセミナーレポート】エネルギー危機を乗り越え、脱炭素を実現していくために
2023/03/29
ソーラージャーナルは12月16日(金)、24回目となるPVビジネスセミナーを開催した。足元のエネルギー危機を乗り越え、発展の礎にしていくために、いま取り組むべきこととは? 各界のエキスパートが、明日への道行きを示した。
第24回PVビジネスセミナー
をレポート!
今回は「足元から見る脱炭素、身近な2つのビジネス視点」というタイトルのもと、産官あわせて5人の有識者が講演を行った。リアル会場とオンライン配信を合わせたハイブリッド形式で実施し、太陽光EPCや発電事業者を中心に約250人の参加者を集めた。講演者それぞれの具体的なテーマは異なるものの、長引くロシア・ウクライナ戦争を背景に、直面するエネルギー危機にいかに対応し、乗り越えていくかが共通の話題となった。
経済産業省の潮氏は、エネルギー安定供給の再構築が急務であるとして、これからの再エネ政策のポイントを詳らかにした。東京都環境局の寺田氏は、全国の注目を集めるなか可決された「太陽光パネル設置義務化」条例と関連施策についてレクチャー。今後、全国の自治体に拡がっていくことが予想される施策だけに、参加者の関心度も高かったようだ。
電力会社の動静に詳しいoffice SOTOの山下幸恵氏は、電気料金高騰への対策として、PPAの重要性が高まっていることを指摘。需要家・小売電気事業者それぞれに対して、今後取り組むべき課題を明らかにした。エクソルの鈴木氏は、現代を「クライシスの時代」と位置づけ、これを乗り切る具体策を提示。太陽光設置義務化の動きにも触れ、住宅分野向け製品の紹介も行った。メテオコントロールジャパンの山時氏は、遠隔監視システムにおける知見をもとに、発電所のさらなるパフォーマンス向上にはオペレーションのデジタル化が不可欠であることを示した。
参加無料の懇親会。豪華なビュッフェを囲み、登壇者を含む参加者同士のネットワーキングで盛り上がった。
次回予告
第25回 PVビジネスセミナー
2023年4月21日(金)
参加無料! 新宿駅会場&オンライン配信の同時開催!
各界のエキスパート
のセミナー概要
東京都 環境局 気候変動対策部
制度調整担当課長(当時)
寺田篤史氏
「東京都における太陽光発電等に関する新たな制度について」
エネルギー大消費地・東京の責務として、先進的取組を率先実行し、脱炭素社会の基盤を確立することが急務であると考えている。大手ハウスメーカーに対して、中小規模建物の屋根に太陽光パネルの設置を義務付ける条例改正案が、このほど都議会で可決された。新制度施行に向けて、「太陽光パネルの標準設置ムーブメント」を醸成していきたい。
office SOTO代表
省エネ・脱炭素エキスパート
山下幸恵氏
「最新電力事情とPPAの可能性」
電力会社各社が標準メニュー・規制料金のさらなる値上げを検討している。電気料金のリスクヘッジがかつてないほど求められている。PPAは、脱炭素だけでなく、電気料金高騰の対策としても大きな役割を果たすものだ。これからのビジネスチャンスは、民間需要家×小売電気事業者×自治体のパートナーシップのうちにある。
経済産業省 資源エネルギー庁
新エネルギー課 課長補佐
潮高史氏
「これからの再生可能エネルギー導入について」
エネルギー安定供給の再構築が急がれるなか、再エネの出力安定化、適地制約に対応した導入拡大等が重要になってきている。太陽光に関しては、屋根設置、需要家・自治体等との連携、蓄電池の併設などを促進していく。地域と共生した再エネの適正な導入・管理に向けては、事業規律強化を促す制度的措置を講じていく。
株式会社エクソル
代表取締役
鈴木伸一氏
「地域共創が実現する日本のエネルギー維新 ~「クライシスの時代」を乗り越えるために~」
ロシア・ウクライナ戦争が引き起こした資源供給不足、電力市場価格の高騰は、日本にとってエネルギーセキュリティーこそが重要課題であることを明らかにした。クライシスの時代に立ち向かうためには、エネルギー自給率向上を急がなければならない。一方で、太陽光発電への反対運動が頻発している。地域共創こそが、未来をひらく鍵を握る。
メテオコントロールジャパン株式会社
代表取締役
山時義孝氏
「10円/kWh時代の維持管理 ーデジタル化によるオペレーションの強化」
これまでと同じ管理手法では、10円/kWhの発電コストを維持できない。これからは、デジタル化によるオペレーションの強化が不可欠となる。デジタル技術で、より正確に期待発電量を算出して実発電量と比較し、発電損失量とその原因を特定することが重要だ。デジタル技術で、オペレーションの業務負担を軽減し、人件費を削減することもできる。
次回予告
第25回 PVビジネスセミナー
2023年4月21日(金)
参加無料! 新宿駅会場&オンライン配信の同時開催!
お問い合わせ
ソーラージャーナル編集部
TEL:03-6300-4430
MAIL:solar@access3335-i.co.jp
SOLAR JOURNAL vol.44(2023年冬号)より転載