蓄電池の基礎知識 スマートコミュニティの活用
2016/04/29
今後の再生可能エネルギーの拡大において、重要な役割を果たすことが期待されている蓄電池。主な蓄電池の種類とともに、これから蓄電池に期待される役割についても見てみよう。
時代の要請に合わせて
電力需給の仕組みを見直す
今、高い注目を浴びる蓄電池。その背景には、時代の要請に合わせて電力需給の仕組みを見直す必要性が生じていることがあります。時代の要請とは省エネ、省CO2の観点から、供給の側では太陽光発電など分散型発電機器の導入拡大、需要の側では消費者自らが使用するエネルギーを管理することが求められていることです。
電気は発電機で生産した瞬間に即消費することが最も経済的です。また、電力供給ネットワーク全体での発電量と消費量が常に一致していなくては、周波数という電気の「品質」が乱れ、電化機器に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、電力会社は高い供給安定性を維持するための電力供給ネットワークを整備してきました。
ところが、そのネットワークが一面において極めて脆弱であることが東日本大震災後に明らかになりました。電気の安定供給を電力会社に言わば“丸投げ”していた首都圏の人々は、東京電力の計画停電を唯々諾々と受け入れるしかなかったのです。
そのことへの反省から、電力会社の供給ネットワークからの独立を志向し、需要家が電気の安定供給に対してより主体的な役割を担うスマートコミュニティなどの取り組みが全国各地で動いています。
太陽光や風力など発電状況が天候に左右される再生可能エネルギーの導入量拡大も政策的に進められています。蓄電池はそこで欠かすことのできない機器として位置づけられているのです。
「鉛蓄電池」
蓄電池の中では商用化が最も早く、経済性に優れています。自動車のバッテリーなど幅広い用途で使われています。安全面でも高い評価を得ています。
「リチウムイオン電池」
住宅や商業ビルで現在、導入が進んでいる蓄電池です。ノートパソコンなどの電子機器でも使われています。スマートコミュニティに組み込まれる蓄電池の本命です。
「ニッケル水素電池」
過充電や過放電に強く、小型化、軽量化も可能だったことから充電用の乾電池として広く使われています。環境性、耐久性にも優れています。
「NaS電池」
エネルギー密度は鉛蓄電池の約3倍で、省スペースが可能。大規模電力貯蔵施設等で使われています。名称の由来はナトリウム(Na)と硫黄(S)を使用していること。