蓄電池の基礎知識 スマートコミュニティの活用
2016/04/29
家庭用製品の広がり
家庭用製品市場をけん引するのは、太陽光発電の販売にも注力する家電メーカー。パナソニックは太陽光発電と蓄電池を組み合わせた「創蓄連携システム」を考案。京セラは国内最大級となる容量12kWhの「大容量タイプ」の新製品を2015年6月に発売しました。シャープはネットで天気予報などの情報を取り込み最適制御する「クラウド蓄電池」を売り出しています。
新規参入としては、健康機器メーカーのオムロンが昨年の春、太陽光発電システム用の蓄電システムの発売を開始しました。機器の小型化と長寿命を両立させたとアピールしています。
スマートコミュニティの活用
従来型の電力システムの代替として「スマートコミュニティ」が期待されています。特定のエリア内でエネルギーの自給自足を図り、大規模集中電源からの独立を目指します。蓄電池は安定供給性の維持に不可欠な機器です。
鳥取市は2011年に、太陽光発電の余剰電力を共同の蓄電池に溜めてコミュニティ内で有効利用する「スマート・グリッド構想」を立ち上げました。また、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティプロジェクト」は、大型商業施設の大容量蓄電池が、コミュニティ内の電気の融通や需給変動を制御する役割を担っています。
安定供給への貢献
太陽光発電の接続量がこれ以上増えると、電気の消費量が比較的少ない時期に電気の安定供給に支障をきたす恐れがあると、電力会社は主張しています。一方で、中長期的には電力会社が抱いた懸念が安定供給上の現実的な脅威となる可能性も否定できません。
そこで九州電力と東北電力の2社は、再エネの系統接続量拡大のための実証実験を、2015年度からの2年間実施することになりました。ここで大容量蓄電システムの出番です。太陽光発電の発電量が最大に達する昼間に蓄電して夜に使用することで、安定供給に支障のない太陽光発電の導入量がどの程度拡大するか検証しています。
イラスト/イケウチリリー
解説/木舟辰平
※『SOLAR JOURNAL』vol.14より転載