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人工的に創られた浮島、ポリネシアの地球温暖化対策

地球温暖化などの影響で海面が上昇し、太平洋の国々は危機に瀕している。そんな中で、人口の浮島を作ることで海面上昇に立ち向かおうとしているプロジェクト、「プロジェ・ディル・フロッタント(フローティング・アイランド・プロジェクト)」が仏領ポリネシアで始まった。

仏領ポリネシア
「フローティング・アイランド・プロジェクト」

地球温暖化のあおりを深刻に受ける太平洋の島嶼国家にとって、画期的な救い手になるか。迫り来る国土の水没に対応するため、人工の浮島を作り、海面上昇の影響を受けない土地を開発しようという世界初の計画「プロジェ・ディル・フロッタント(フローティング・アイランド・プロジェクト)」が南太平洋にある仏領ポリネシアで進んでいる。

2017年1月、仏領ポリネシアと米カリフォルニアの非営利組織(NPO)シーステディング・インスティチュートは、2017年末までに協力して同プロジェクトの法整備を行うという覚書に署名した。同覚書では、シーステディング・インスティチュートに海洋および海底状態を保証する環境アセスメントと、同プロジェクトが仏領ポリネシアに及ぼす経済的利益の分析を義務付けており、それらの調査が完了した後、仏領ポリネシアは人工浮島に伴う特別自治の枠組みを進める予定だ。

シーステディング・インスティチュートは同構想を、そもそもは公海上に新しい共同体を設立し、外界から離れて自由に暮らせる場所として目指していた。しかし外洋と比べ、近海であれば波も穏やかで浅瀬が広がり、技術的なコストを抑えられる。浮島の居住者にとっても、本土との往来および物やサービスを得ることが容易になる。また、ホストとなる国の領海に位置することで、関連した保護や責任と共に、国際的な法律の枠組みを浮島に供給できる。これらの理由から、公海上に作るのではなくホスト国を定め、その国に付属した形で近海においてプロジェクトを進める現在の形になった。

フローティング・シティは居住や観光、ビジネスパーク、研究所という目的以外にも、持続性ある養殖業としての拠点や、太陽光および洋上風力発電を通じたエネルギーの販売といった、新しいマーケットを創出することを可能にする。温暖化への対応策だけでない経済、社会、環境、それぞれの面から大きな利益を、ホスト国へ生み出すのだ。


文/Yukinobu Kato

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