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EV市場を中国が席巻 「世界のトヨタ」が時代遅れに

躍進する中国メーカーが
テスラの販売台数を超えた

中国も国策としてEVの推進に本格的に乗り出した。そのため、さまざまな優遇策が設けられている。その代表的なものが、EVの購入者に支払われる補助金。日本円にして最大で100万円余りが支給されるので、400万円するEVでも購入者の負担は300万円以下にまで下がる。

また、2018年からは、カリフォルニア州のZEV規制に似た制度が導入されそうで、自動車メーカーは一定比率(初年度は8%)以上の電動車(EVおよびPHV)を販売することを義務付けられることになる。未達成のメーカーにはペナルティが適用される。

※編集部注 「ZEV規制」……カリフォルニア州では、州内で一定台数以上自動車を販売するメーカーは、その販売台数の一定比率をZEV(Zero Emission Vehicle=排出ガスを一切出さない自動車)にしなければならないと定められている。

さらに、中国政府は、将来的には、フランス、イギリス、ノルウェーなどと同様、ガソリン車やディーゼル車の新車販売を禁止する措置を検討していることを明らかにしている。実現すれば、日本が誇るハイブリッド車(HV)も禁止されることになる。

これはベストセラーカー「プリウス」をエコカーの中心に据えてきたトヨタにとっては大打撃だ。日本は三菱が「i-MiEV」を、日産が「リーフ」を発売した2009〜2010年頃には世界の自動車の電動化をリードしたのだが、最近は後れ気味だ。

世界の主要メーカーの中で1番後れているのはトヨタ。これまで、HVと燃料電池車(FCV)に注力し、「EVは小型短距離向け」というマイナーな扱いをしてきたが、この時代遅れの考えに鉄槌を下したのがアメリカのテスラ。昨年発売された「モデルS」の最上級車はフルサイズでしかも航続距離は600kmだ。

そのテスラは2016年の年間販売台数は「モデルS」「モデルX」を合わせて約7万6000台で世界2位。1位は中国のBYDで、「唐」「秦」「e6」など合計で約9万6000台に上った。中国には他にも大手の北京汽車(BAIC)などがEVに力を入れている。トヨタ、GM、フォードというビックスリーの時代が過去のものになる日は近い。

プロフィール

村沢義久

環境経営コンサルタント (合同会社 Xパワー代表)
東京大学工学修士。スタンフォード大学MBA。経営コンサルティング会社日本代表、ゴールドマンサックス証券バイスプレジデント(M&A担当)などを歴任の後、2005年から2010年まで東京大学特任教授。2010年から2013年3月まで同大学総長室アドバイザー。2013年4月から2016年3月まで立命館大学大学院客員教授。現在の活動の中心は太陽光発電と電気自動車の推進。
Twitterアカウント: @murasawa


※『SOLAR JOURNAL』vol.23より転載

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