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【シンポジウムレポート】次世代パワエレで太陽光発電を最適化!

東芝エネルギーシステムズ株式会社 エネルギーアグリゲーション統括部 技術エキスパート 稲葉道彦氏「次世代パワエレで太陽光の課題を解決」


稲葉氏は、次世代パワエレ(MLPE/SLPE)の利点を次の5点に整理。

①発電量の向上:モジュール単位またはストリング単位でMPPT動作(最大動作点追従)および遠隔監視が可能。DCモジュールのバラつきも軽減。②周辺環境への適応:影の影響を受けにくく、ホットスポットの影響も少ない。③信頼性の向上:モジュールとほぼ等々の長期耐用年数をもつ。④安全性の向上:漏電検出によりモジュールの出力を遮断することができる。⑤施工の簡便さ:増設や取り外しによるシステムの変更が少ない。

こうした特長をもつ次世代パワエレは、太陽光発電システムの課題解決になくてはならないものであることを力説した。

ソーラーエッジテクノロジージャパン株式会社 アシスタントディレクター・テクニカルマーケティング 永沢健氏「最先端の技術で太陽光発電の価値を最大化」


ソーラーエッジは、パワーコンディショナと一体となった独自のソリューション「DC最適化パワーコンディショナ・ソリューション」により、モジュールレベルでの発電量最大化を実現する。遠隔モニタリングもモジュールレベルで可能となるため、O&Mの精度は高まり、信頼性も向上する。

さらに、システム設計の自由度が高まり、複雑な地形でもより多くのパネルを設置することができるようになるという。永沢氏は、平坦な土地が少なく、太陽光発電に適した土地が減少している日本においてこそ、MLPEの真価が発揮されると強調した。

アンプトジャパン日本支社長 近藤茂樹氏「新設はもちろん既設案件のリパワリングにも」


アンプトは、ストリングレベルの最適化ソリューション「Amptストリングオプティマイザ」を展開する。近藤氏が語る効果と特長は以下の5点。

①ストリングごとのMPPT(最適動作点)のズレ(ミスマッチ)による電力損失を低減。
②新設の場合のBOSコスト(接続箱、DCケーブル)削減。
③DC:AC比率に優れた過積載システムが可能。
④O&Mのためのストリングモニタリングシステム。
⑤蓄電池システムとの親和性の高さ。

同社製品はストリング単位での設置で済むため、後付けも容易であり、既設案件のリパワリングにも大きな効果を発揮するという。

株式会社ニプロン 本部営業部 次長 GPプロジェクトリーダー 鈴木利宏氏「電力変換ロスのない直流給電の世界を目指して」


ニプロンは、メイド・イン・ジャパンにこだわり続ける国産パワーエレクトロニクスの草分け的存在。40年超の実績をもつ直流電源技術をベースに、独自のSLPE「PVマキシマイザー」を提供する。個々のストリングに対してMPPT制御を行うので、影、アレイ向き・直列枚数の不揃い、異種パネルの混合によるストリング電圧の低下を防ぐという。

鈴木氏は、同社ソリューションにより太陽光発電システムの直流部が安定し、有効活用が可能になることをアピール。将来的には、電力変換ロスの大幅削減を可能にする直流給電の世界をつくりたいと熱く語った。

Tigo Energy Inc. CEO ツヴィ・アロン氏「多様なニーズに柔軟に対応できるFlex MLPE」


タイゴエナジーは、モジュールに取り付けるジャンクションボックスをベースにした「Flex MLPE」を展開する。オプティマイジング、セイフティ、モニタリングなど多様な機能の中から、必要なものだけを選んで装填することができるフレキシブルなMLPEだ。発電量の最大化というMLPE本来のメリットはもちろん、火災等の災害時には電流・電圧をパネル単位で即時ゼロにする「ラピッドシャットダウン」も可能だという。

ツヴィ氏は、太陽光発電システムを守り、ポテンシャルを引き出し、投資収益率向上を約束する究極のソリューションだと胸を張る。

産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所 上席イノベーションコーディネータ 近藤道雄氏「求められる次世代パワエレの国際規格」


近藤氏は、研究者の立場から次世代パワエレの必要性と課題を解き明かした。MLPE/SLPEは、太陽電池モジュールの高効率化が技術的限界に近づきつつある中、発電システム全体のパフォーマンス最大化に向けて不可欠なものになろうとしている。

今後は、太陽電池モジュールと同様に、公平かつ適切な国際規格が求められることになるだろうと展望する。パワーエレクトロニクスが太陽光発電システムの未来を拓く、キーテクノロジーになることは間違いない。

次回PVビジネスセミナーは、2018年7月26日開催!

 


取材・文/廣町公則

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