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「RE100」は本当に再エネを推進させるか? 環境価値買取の問題点とは

環境価値買取は必ずしも
再エネ新設につながらない

世界のリーディングチップメーカーであるインテルは、早くから再エネ100%を達成していた。自社の18に及ぶ施設に計7MWの太陽光発電を設置しているものの、99%の自社エネルギー消費は環境価値調達でオフセット(相殺)されている。マイクロソフトも同じように約80%は環境価値調達で賄われている。

しかし、近年において、環境価値買取方法が問題視されている。その理由は、環境価値買取が必ずしも「再エネの新規導入拡大」と「化石燃料の消費削減」に結びつかないからである。

太陽光や風力などから発電されたクリーンなグリーン電力は、電気そのものの価値とCO2排出削減といった環境価値から構成される。電気そのものと切り離された環境価値を購入することで、「再エネ電力を使用している」と宣言できる。

「再エネで事業を賄っている」
アピールでしかないことも

米国では、環境価値買取は「良いことをやっていると感じる『詐欺』」とも呼ばれている。環境価値買取で事業活動を再エネで賄っている、と主張することはできるが、 実際の事業活動の電力は以前と変わらず地域独占の大手電力会社から購入しているケースがほとんどである。

さらに、もし、その電力会社が化石燃料源の発電所を主な電力源にしている場合、環境に与える負担は全く軽減されず、化石燃料依存を維持、または増加させてしまうかもしれない。

例えば、日本での「太陽光発電の2019年問題」を例にとろう。企業がFIT終了家庭から電力、または環境価値調達でCO2排出量削減の仕組みを検討している。

企業が、家庭が自己投資で導入した屋根置き太陽光発電から環境価値を購入することは、環境価値の売り手(ここでは家庭) の新たな収入源とはなるが、必ずしも新規再エネの拡大には繋がらない。

企業が既存の再エネ設備から環境価値を買い、従来の電力会社の電力を買い続けることは、電源ミックスに何の変化ももたらさない。


文/モベヤン・ジュンコ

SOLAR JOURNAL vol.26(2018年夏号)より転載

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