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日本は課題が山積み? 欧州に学ぶ「再エネ電力調達」の戦略

再生可能エネルギーの導入が先進している欧州企業に比べ、その動きが少々鈍いように思われる日本。さらなる再エネ普及を目指すためには何が必要か? エネルギージャーナリストの北村和也氏が読み解く。

前記事:「再エネ100%達成率はダントツ! RE100の発祥地・欧州の実力」はコチラ

欧州から見る
日本の課題とは?

再エネの目標達成に向けて欧州の会員企業は、再エネ電力調達の戦略を着々と進めている。最も多いのがグリーン電力をサプライヤーとの契約で手に入れる方式で2015年の倍の量に達している。また、トレンドの自社発電は12倍に膨れ上がっている。この先、IKEAは世界の自社の建物に太陽光パネルを設置し、BMWグループは自社工場で風力発電からの電力を使うという。

一方で、日本で最初の参加となったリコーの100%達成の設定は2050年であり、他のメンバーの多くが2024年までの達成を目指す中で、最も遅い設定の一つである。この原因は、日本の再エネ電源への取り組みにある。具体的には、再エネの電力量の少なさと高い価格である。

この5月に行われた「非化石証書(再エネ由来)」のオークションでは、入札の最低価格=再エネのプレミアム分が1.3円/kWhとされ、約定率がわずか0.01%と極端な低調に終わった。

また、知られているように、日本のFIT制度の特殊性も再エネ電力の量を「小さく」している。政府はFIT制度で売っている電気は「FIT電気」であり、再エネと呼ぶことを禁じ「環境価値はない」としている。ドイツでは、FIT電源は再エネとされているにもかかわらず、である。

実現を伴う「RE100」に向け
制度の調整が必要

日本政府がやっと打ち出した再エネの主力電源化は、遅ればせながら再エネ拡大に大きく寄与するであろう。結果としてRE100を目指す企業が多数現れるのが目の前に見えるようである。

しかし、今のままでは、『参加だけで実現を伴わないRE100』を増やすだけになりかねない。制度面での工夫や思い切り良いエネルギー政策での決断が必要不可欠である。

プロフィール

北村和也

エネルギージャーナリスト。日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表。エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
日本再生可能エネルギー総合研究所公式ホームページ


SOLAR JOURNAL vol.26(2018年夏号)より転載

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