編集部からのお知らせ

森林所有者と林業経営者をつなぐ「森林経営管理制度」のメリットは?

管理が行き届いていない森林について、市町村が仲介役となることで管理体制を保つ新システム「森林経営管理制度」。来春よりスタートするこの制度の狙いとは?

森林所有者・経営者・市町村
それぞれに多様なメリット

森林経営管理制度の導入により、市町村・森林所有者・林業経営者それぞれに多様な効果を期待することができる。

例えば、市町村にとっては、経営管理されずに放置されていた森林が経済ベースで活用され、地域経済が活性化するというメリットが挙げられる。また、荒廃した林の解消や伐採後の再造林が促進され、土砂災害等の発生リスクが減り、地域住民の安全・安心に寄与するとも考えられる。

森林所有者にとっては、市町村が介在してくれることにより、長期的に、安心して所有森林を任せられる。また、意欲と能力のある林業経営者に、所有森林の経営管理を委ねることで、所有森林からの収益の確保が期待できる。

林業経営者にとっては、多数の所有者と長期かつ一括した契約が可能となり、経営規模の拡大や雇用の安定につながる。さらに、これまで手がつけられなかった所有者不明の森林も整備可能になるので、間伐等の施業や、伐採した木を運ぶための林道等の整備も効率的に実施できる。

林業の成長産業化という大目標とともに、ステークホルダーそれぞれに旨味のある新制度といえそうだ。

「森林経営管理制度」の狙いは?

「森林経営管理制度」の狙いは、経営管理が行われていない森林について市町村が仲介役となり、森林所有者と林業経営者をつなぐことだ。

出典:林野庁

 

疑問と回答

林野庁では、森林経営管理制度に寄せられた疑問と回答を公表している。以下、その一部を要約し紹介する。新しい森林管理システムを理解する糸口にもなるものだ。

Q.これまで経営管理してきた所有者から森林を取り上げるのか?

A. いいえ。現在、経営管理されている森林はこれまでどおり、森林所有者による経営管理を支援することとしており、取り上げる(経営管理権を設定する)ことはありません。新たな制度では、現在経営管理が行われていない森林が対象となります。

Q.市町村の方針に所有者が同意しなければ、強権的に経営管理権が設定される措置なのか?

A. いいえ。森林所有者の意向を無視して、経営管理権を設定するものではありません。所有者が不同意の場合の手続の特例は、森林の経営管理が行われていないにも関わらず、所有者の意思表示がない場合などに限られます。

Q.経営管理実施権は、大企業にしか設定されないのか?

A. いいえ。経営管理実施権の設定を受ける林業経営者は、森林所有者や林業従事者の所得向上につながる高い生産性や収益性を有するなど、効率的かつ安定的な林業経営を行うことを目指す者としており、経営規模の大小は問いません。


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.26(2018年夏号)より転載

関連記事

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 【飯田さんコラム】新築住宅への太陽光発電設置義務化。東京都から全国へ広がる動き...
  2. 東京都の「太陽光義務化」2年間の準備期間を経て2025年春動き出す
  3. 【参加受付中!】2025年6月10日(火)「第34回PVビジネスセミナー」
  4. 積水化学工業がペロブスカイトを量産化! 2030年にはGW級の製造ライン構築を目指す...
  5. EPCの設計者必見! 蓄電池併設のFIP転やPPA「DCリンク」で収益を向上させる方法...
  6. 『SOLAR JOURNAL』“蓄電池ビジネス”特集号 5/27発行!
  7. EMS関連の国内市場 2040年にかけ中小規模の施設でも導入拡大へ
  8. 【EMS専門家が監修】系統用蓄電池のビジネスモデル、他社に差をつけるためのEMSの基礎知識...
  9. HUAWEI 新型蓄電システム、3機種を一挙公開 産業用・住宅用ともに「安全性」を徹底追求...
  10. 第7次エネルギー基本計画を閣議決定 太陽光の比率を 23~29%程度に変更...
広告お問い合わせ 太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

蓄電池特集号 | ¥0
2025/5/27発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ