2.5倍の過積載でIRRが大幅向上! 太陽光発電のオプティマイザ活用事例
2018/12/04
既設の太陽光発電所を最適化し、IRR(内部収益率)を向上させる「オプティマイザ」が話題だ。導入することで、どれほどの効果が期待できるのだろうか? オプティマイザの活用事例をご紹介しよう。
Amptストリングオプティマイザ
とは?
ストリングレベルでの発電最適化を実現する次世代パワーエレクトロニクス。発電量UPとコスト低減を同時に達成できるなど、様々なメリットをもたらす。
導入企業が増加中!
想定以上の導入メリット
太陽光発電所の”質”を高める「次世代パワエレ」の導入事例が、日本でも着々と増えている。ストリングレベルでの発電最適化を実現する「Amptストリングオプティマイザ」は、昨年7月のアンプト日本支社設立以来、日本でも導入が進み、2018年10月現在で36件、合計で約35MWの既設及び新設の太陽光発電システムに搭載されている。実際に導入した企業に話を聞くと、下記の通り、そのメリットは多岐にわたり、いずれも想定以上の効果を上げている。
特に、過積載システムの効率的な構築を図るために2017年に導入を開始したナノエナジー社に至っては、導入済の20案件・3MWにとどまらず、さらに低圧と高圧・特高あわせて544案件、計133MWもの発電所への導入を予定している。
同じく日出電機社も、30MWの新規案件で導入を検討しているという。セカンダリー市場の拡大も進む中、発電所をパワーアップして資産価値を高める絶好のソリューションだ。次世代パワエレ導入が日本の太陽光発電のスタンダードとなる日も近い。
導入企業① ナノエナジー
「DC:AC過積載システム」を低コストで構築!
太陽光パネル:103kWp
パワコン:49.5kW
設置場所:千葉県
結果:2.5倍の過積載でIRRが向上!
当社が最初に導入したのは2017年10月です。FIT単価が27円から24円に下がり、モジュール単価も今ほど安くなく、顧客視点で投資利回りを上げる手段として導入し、Amptの定電圧出力機能を使って、200%以上の過積載を実現するに至りました。これまでに20案件、計3MWの発電所に導入しています。導入の結果、NEDOの日射データベースを基に定量的にピークカット損失を評価するシミュレータを自社開発したことで、パネル配置や方位、傾斜角の最適化を実現できました。
また、オプティマイザとしてのミスマッチ補正機能ばかりでなく、直列数の最大化と2並列入力1出力の機能が、設計の自由度を高め、ひいては組み立て工程の大幅削減をもたらしてくれました。これが最大の功績だと思っています。さらに、パワコンの設備利用率を30%まで引き上げられ、低圧のみならず、この手法は高圧、特高にもスケールアップできると考えています。
今後、設備認定済の低圧ソーラーで40案件、計5MW、新規申請予定で500案件、計60MWに導入予定です。高圧・特高では設備認定済みの4案件、計68MWに導入予定です。
(株式会社ナノエナジー 代表 岩崎光洋氏)
(上)無線通信でデータを取得する「Amptコミュニケーションユニット」
(上)過積載の特徴を表す波形とストリングモニタリング
(上)49.5kW 低圧単線結線図 DC133kW(過積載率270%)
導入企業② 日出電機
既設の太陽光発電所を「リパワリング」!
太陽光パネル:694kWp
パワコン:500kW
設置場所:大分県
結果:発電量が7.5%もアップ!
2018年6月に初めてストリングオプティマイザを導入しました。アレイを設置している東側に森林があり、ほぼ午前中いっぱい影がかかってしまう状況です。影のかかっていないアレイと比較して約20%もPR(パフォーマンス)が悪い状態でした、これを少しでも改善できないかと考えていました。
東側の森林の影の影響によるミスマッチ損失が発生している。
2017年の同時期(6月~9月)と2018年(6月~9月)を比較すると、PRが7.5%も向上しました。期待以上の効果ですね。既設の案件で、森林の影がひどくない場所でもPRの低いアレイがあります。追加設置を検討中です。また、新規の30MW案件で、山なりに設置するため方位角の異なるアレイが多数出てくるサイトがあり、オプティマイザによって少しでも損失を抑えられるのではないかと導入を検討中です。
(株式会社日出電機 代表取締役社長 渡邉浩司氏)
(上)Amptを使用した結線図
(上)2017年(Amptナシ)と2018年(Amptアリ)のPCS2とPCS3の比率(kWh)
モニタリング精度向上で
発電損失を抑えられる!
Amptストリングオプティマイザを導入すれば、無線通信でストリングごとの発電状況を収集し、トラブルが発生した場合、速やかに故障箇所を特定することができる。ミスマッチ損失のみならず、不具合による発電損失も低減することができるのだ。
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