化石燃料依存の脱却へ! 世界初の洋上浮体式太陽光発電所「ソーラーシー」とは
2019/09/18
オーストリアの太陽光メーカー、スイムソル社による世界で初めての洋上浮体式太陽光発電、「ソーラーシー」のプロジェクトが進行中! 高さ1.5mの波、時速100kmの風、熱帯性気候などに耐えられるという。
化石燃料依存からの脱却に向けた
1つの解決策に
太陽光が潤沢に降り注ぐ南洋上を、そのまま太陽光発電所にしてしまうプロジェクトが進行中だ。オーストリアの太陽光メーカー、スイムソル社による世界で初めての洋上浮体式太陽光発電「ソーラーシー」である。
ソーラーシーは、ウィーン工科大学および独フラウンホーファー研究所とスイムソル社が4年以上にわたる共同研究を行い開発。高さ1.5mの波、時速100kmの風、熱帯性気候などに耐えられる縦横各14mの浮体式プラットフォームに24kWのマリングレード太陽光パネルを備え、耐用年数は30年。同じ地理的条件の屋上設置式パネルより、水による冷却効果と水面の光の反射により出力が5~10%高いのも特徴だ。2014年から常夏の島国モルディブで運用が開始され、2019年6月には、スイムソル社の第三者割当増資を大和証券グループの1社が引き受けたことが発表された。
現在、モルディブではエネルギー供給のために多量のディーゼル燃料が消費され、GDPの25%を燃料輸入が占めている。財政、物流、環境面で負担となっている化石燃料への依存を、太陽光を由来とした持続可能なエネルギーへ代替できれば、同国にとって悲願となる。ソーラーシーは、海洋リゾート産業の自然負荷を軽減する、1つの解決策を示している。
文/Yukinobu Kato
SOLAR JOURNAL vol.30(2019年夏号)より転載