FIT抜本見直し議論が本格化! 再エネ電源を2つに分けて制度を適用!?
2020/01/20
FIT制度の抜本的な見直しに向けて、経済産業省が新たな枠組みづくりを進めている。この見直しは以前から予定されていたことだが、9月に新たな審議会「再生可能エネルギー主力電源化制度改革小員会」を立ち上げ、その中身をつめていく段階に入った。
電源ごとに
制度を変える
これまで日本は、FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)という補助制度で、再生可能エネルギーの導入を促してきた。買取価格や買取期間に違いはあるものの、再エネ電源で発電した電気には一様にFITが適用された。これからは、電源種ごとに、その特性に合わせた制度を適用していくことになる。
経産省ではまず、再エネ電源を2種類に大別する。競争力のある電源への成長が見込まれる電源「競争電源」と、地域において活用される電源「地域活用電源」だ。「競争電源」には、大規模太陽光発電、風力発電、大規模地熱発電、中水力発電が想定されている。「地域活用電源」には、住宅用太陽光発電、小規模事業用太陽光発電、小規模地熱発電、小水力発電、バイオマス発電が含まれる。「競争電源」と「地域活用電源」、それぞれの中身も細かく分けて、対象ごとに制度的アプローチを変えていく方針だ。詳細な制度設計はこれからだが、まずは経産省の基本方針を整理しておこう。
競争電源
技術革新等を通じて、発電コストが着実に低減している電源、または発電コストが低廉な電源として活用し得るものについては、今後、さらにコスト競争力を高め、FIT制度からの自立化を促す。
入札を通じてコストダウンの加速化を図るとともに、電力市場の中で競争力のある電源となることを促す制度を整備し、電源ごとの案件の形成状況を見ながら、電力市場への統合を図っていく。
具体的には・・・
再エネ発電事業者みずからが電力市場を通じて電気を販売し、他の発電事業者と同様に、インバランスの調整や市場の電力価格、系統負荷等を意識した投資・発電を行うよう促しつつ、引き続き投資回収についての一定の予見性を確保できる仕組みを目指し、そのための補助の水準を順次縮小していくことにより、国民負担の抑制を図っていく。
つまり・・・
新制度に移行(新制度についてはこちらの記事へ)
地域活用電源
需要地に近接して柔軟に設置できる電源(住宅用太陽光発電、小規模事業用太陽光発電など)や地域に賦存するエネルギー資源を活用できる電源については、災害時のレジリエンス強化にも役立つよう、需給一体型モデルの中で活用していくことが期待される。地域において活用され得る電源として優先的に導入を拡大しながら、コストダウンを促していく。
具体的には・・・
自家消費(住宅や工場等の所内で活用する太陽光発電など)や、同一地域内における資源・エネルギーの循環(地域で集材した燃料を用いて発電し、熱電併給等を活用しながら、地域にエネルギーを供給する地域循環型のバイオマス発電など)を優先的に評価する仕組みを前提に、当面は現行のFIT制度の基本的な枠組みを維持しつつ、電力市場への統合については電源の特性に応じた検討を進めていく。
つまり・・・
FIT継続
取材・文/廣町公則
SOLAR JOURNAL vol.31(2019年秋号)より転載