新たな“FIP制度”検討進む! インバランス一定負担など大きく見直し
2020/01/09
資源エネルギー庁は12月12日、「再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会」の中間とりまとめ案を発表した。「競争電源」「地域活用電源」それぞれの新制度と、地域に根差した再エネの導入促進や次世代型ネットワークの在り方が論点だ。2020年度末のFIT制度改正に向け、議論は大詰めを迎えている。
「競争電源」はFIP制度へ移行
インバランスも一定負担の方向
2019年8月に取りまとめられた「再エネ大量導入・次世代電力NW小委員会」の中間整理(第3次)では再エネを、発電コストが低減している「競争電源」と、地域のエネルギー資源として活用する「地域活用電源」の2つに分類している。今回の中間とりまとめ案においても、この分類に基づき、それぞれに対し制度の方向性が示された。
「競争電源」は、大規模太陽光発電や風力発電を想定し、現在のFIT制度からFIP(Feed-in-Premium)制度への移行を進める。
FIP制度では、市場での売電収入に加え、基準価格と参照価格との差額(プレミアム)に売電量を乗じた収入が加算されるため、発電事業者にとっては投資インセンティブの向上が期待できる。
このFIP制度では、基準価格は固定のため、参照価格の設定の仕方によってプレミアムの収入が大きく左右される。参照価格の決め方は、市場取引と同様に30分単位で変更される「完全変動型プレミアム」と、長期間変更しない「固定型プレミアム」の折衷案を採用の方向で議論が進んでいる。
また、基準価格が参照価格を下回り、プレミアムがマイナス額となる場合でも、発電事業者にその負担(ネガティブ回プレミアム)を求めない方針で検討が進められることとなった。
さらに、現行のFIT制度においては、発電事業者は発電の計画値と実績値の差分(インバランス)の費用負担を免除されているが、これについても見直すべきとされた。この見直しについては、需給の調整を得意とするアグリゲーターがその能力を発揮し、インバランスを最小に抑えながら効率的な市場取引を実現することが期待されている。
「地域活用電源」はFIT継続
キーワードはレジリエンス
住宅用太陽光発電やバイオマス発電などの「地域活用電源」は、発電コストが十分に低減されているとはいいがたい状態であることから、引き続きFIT制度を適用するとされている。
その一方で、「レジリエンス・自家消費・地域消費」といった価値を踏まえながら、さらなる活用を検討するとされた。「地域活用電源」は、家庭用太陽光発電などの「自家消費型」と、地域住民に利用されることを前提とした「地域消費型(地域一体型)」の2つの類型に分類し、詳細が検討されることとなった。
また、FIT制度の対象となる太陽光発電設備の廃棄等の費用については、原則として外部積み立てとし、10kW以上のすべての案件が対象となった。
これらの再エネの主力電源化を下支えする次世代電力ネットワークについては、一般送配電事業者や広域的運営推進機関が主体的に系統形成を行う「プッシュ型」で進められることが確認され、自然災害等に強い分散型グリッドを推進するため、送配電事業を免許制とし「配電事業者」という位置付けを新設することも引き続き検討とされた。
DATA
文/山下幸恵