発電側基本料金、変電所単位で割引エリアを設定! 一般送配電が公開予定
2020/03/02
電力・ガス取引監視等委員会は2月10日、発電側基本料金の割引対象地域を、一般送配電事業者がどのように通知するかなどについて議論を行った。割引対象エリアを設定し、発電所の新設を送配電網の増強コストの少ない地域へ誘導することは、発電側基本料金の導入意図のひとつとされている。
発電側基本料金、詳細の検討進む
BG代表者がまとめて支払い
電力・ガス取引監視等委員会は、第45回「制度設計専門会合」において、発電側基本料金の詳細設計について検討を進めた。議論のポイントは3つ。「発電側基本料金の支払・通知方法」「送配電都合で逆潮流できない場合の取扱いについて」、そして「一般送配電事業者による割引対象地域の通知方法」だ。
発電側基本料金の支払いについては、発電バランシンググループ※の代表者がまとめて行う方向となった。これは、需要バランシンググループの代表者が、一般送配電事業者との間でインバランス精算や託送料金の支払いを行っていることにならったものだ。
また、送配電設備の都合で逆潮流できない場合については、あらかじめ計画されているものを除き、需要側の託送料金の場合と同様に取り扱う方向となった。
※バランシンググループ(BG)とは、複数の事業者が集まることで、電源の調達能力を高めたり、供給に関する手続きを簡素化する仕組み。「代表契約者制度」とも呼ばれる。需要を集めることで、電気を融通しあう需要BGと、スケールメリットを生かし電源調達などをスムーズに行う発電BGの2種類がある。
変電所等の単位で割引エリア指定
立地インセンティブは機能するか
発電側基本料金導入の背景にあるのは、「送配電網の追加増強コストが小さい地域」へ、発電所の設置を誘導する意図だ。「送配電網の追加増強コストが小さい地域」とは、需要地に近い地域を指す。電源が需要地に近いと、比較的送電ロスが小さく、電気の品質を維持するための設備の追加も少なくて済む。そのため、送配電関連コストの抑制に役立つとされている。
現在でも、「需要地近接性評価割引制度」によって立地の誘導を試みているが、条件が厳しく、適切なインセンティブにはなっていないという。
発電側基本料金では、新たに割引制度を設けることで、この立地インセンティブを機能させる。新しい割引制度は2種類。基幹系統投資効率化・送電ロス削減割引(「割引A」)と、特別高圧系統当為効率化割引(「割引B」)だ。「割引A」は、基幹変電所などの単位で割引対象を決定する。「割引B」は、配電用変電所単位で割引対象を判定し、「割引A」の範囲に含まれる。
今回の会合では、それぞれの割引対象地域を把握するため、一般送配電事業者による情報の提供方法について議論された。案として、託送供給等約款に割引対象エリアを盛り込むことや、発電事業者に接続する変電所を通知すること、高圧・低圧電源については、対象エリアを地図上に示したものをウェブサイト上で公表することなどが提示された。
DATA
文/山下幸恵(office SOTO)