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「カーボンプライシング」とは何か? 小泉環境相、年明けから検討再開の意向

小泉進次郎環境大臣は12月11日の記者会見において、二酸化炭素の排出量に応じ価格を付ける「カーボンプライシング」の検討を2021年1月から再開すると発表した。「小池(東京)都知事と電動車の普及およびカーボンプライシングでコミュニケーションをとっていく」とも明らかにした。

明示的な「炭素の価格付け」
主題は、炭素税と排出枠取引

カーボンプライシングは「炭素の価格付け」とも呼ばれる。CO2排出量に直接価格を付ける「明示的カーボンプライシング」と、エネルギー消費量などに応じて間接的に課税する「暗示的炭素価格」の2種類に大別される。

(出典:環境省)

さらに「明示的カーボンプライシング」の代表的な施策に「炭素税」と「排出量取引による排出枠価格」がある。排出量1トンあたり〇〇円と価格を固定する炭素税は「価格アプローチ」、排出枠を固定する排出量取引は「数量アプローチ」と位置づけられている。

排出量に比例して課税する「炭素税」のメリットは、CO2排出量に関わる環境負荷を具体的な金額として見える化できることだ。需要家は、炭素税と排出量削減対策コストを比較しながら、安価な対策から効率的に実施できるとされている。

一方、数量アプローチとされる「排出量取引」では、需要家に一定の排出量削減を義務付ける。この基準排出量を達成できなかった需要家が、多く削減した需要家との間で削減量を取引できる。これは「キャップ&トレード制度」とも呼ばれ、東京都では、2010年度から世界に先駆け、オフィスビルなどを対象とした「東京都キャップ&トレード制度」を実施している。

(出典:東京都)

2050年脱炭素社会に向け
満を持して議論再開へ

環境省は、2017年度に「カーボンプライシングのあり方に関する検討会」を設置し、効果や影響について取りまとめている。冒頭の小泉大臣の記者会見によると、年明けからのこの検討が再開されるという。

同検討会は、2018年3月に発表した取りまとめの「考慮すべき事項及びその対応策」のひとつに『経済への影響』を挙げている。当時ヒアリングを行った経済団体からは「企業にコスト負担を課すことで『ものづくり立国』を支える製造業等に悪影響を与え、我が国経済に深刻な打撃を与えかねないことから、明示的カーボンプライシングの導入や拡充に反対」という声があったという。

脱炭素社会の実現を目指す社会の潮流は、2年前よりさらに強まっている。2050年カーボンニュートラルという目標の実現に向け、いよいよカーボンプライシングの本格的な議論が始まる。

DATA

環境省:カーボンプライシングのあり方に関する検討会


文:山下幸恵(office SOTO)

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