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「2050年カーボンニュートラル」が温対法の基本理念に。改正案が閣議決定

昨年10月、2050年の脱炭素社会実現に向け、大きく舵を切った日本。本格的な法整備がいよいよ始まった。3月2日、環境省が温対法の改正案が閣議決定されたと明らかにした。明確に法に位置づけ、地方自治体の脱炭素化を促すため、再エネの導入目標を設定するなどの方策も盛り込まれた。

2050年脱炭素を法に位置づけ
デジタル化も推進する改正案

温対法は、正式には「地球温暖化対策の推進に関する法律」という。一定量以上の温室効果ガスを排出する事業所に対し、排出量の算定と国への報告を求める。事業者全体のエネルギー使用量が原油換算で年間1,500kL以上の事業者が対象だ。報告された排出量などの情報は、経済産業省と環境省が事業者別、業種別、都道府県別に集計し、毎年公表している。

2020年10月の菅首相の「2050年カーボンニュートラル」宣言を受け、環境省は「地球温暖化対策の推進に関する制度検討会」を開催。法制度の変更を検討してきた。

そして今回、この温対法の中に「2050年カーボンニュートラル」を基本理念として位置づける改正案が閣議決定された。同時に、地域の再エネを活用した脱炭素化の取り組みや、企業の排出量情報のデジタル化・オープンデータ化の推進も目指す。

脱炭素の理念を明確に打ち立て
投資やイノベーション促進目指す

具体的な改正内容は、
(1)パリ協定・2050年カーボンニュートラル宣言等を踏まえた基本理念の新設 
(2)地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業を推進するための計画・認定制度の創設 
(3)脱炭素経営の促進に向けた企業の排出量情報のデジタル化・オープンデータ化の推進等

――の3つだ。

パリ協定に沿った2050年脱炭素社会の実現という基本理念を明確にし、地方自治体や企業に予見可能性を示すことで脱炭素に向けた投資を促す。また、地方自治体の地球温暖化対策の実行計画も強化し、地域の再エネを活用する「地域脱炭素化促進事業」に対しては、関係法令の手続き簡素化のための特例も認める。さらに、企業の温対法の定期報告では、電子システムによる報告を原則とする。

法律案は、2021年6月16日まで開催される第204回通常国会に提出される予定だ。

DATA

環境省:地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について


文:山下幸恵(office SOTO)

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