需要家も取引できる「再エネ価値取引市場(仮称)」とは?
2021/07/13
需要家による再エネ価値の調達をしやすくするため、経済産業省が新たな市場を創設する意向だ。新市場は、現在運用中の非化石価値取引市場に設けられるとみられる。カーボンニュートラルの実現に向け、需要家の電力調達の脱炭素化を加速する狙いがある。
カーボンニュートラル達成には
電力調達の脱炭素化が重要
カーボンニュートラルの実現に向けて、電力調達を脱炭素化するというニーズがさらに高まると予想されている。再エネ由来の電力100%での事業運営を目指す国際イニシアチブRE100の参加企業は、2021年7月12日時点で57社にのぼる。
こうしたニーズに応えるために、経済産業省は需要家が再エネなどの環境価値を調達する手段を充実させようとしている。具体的には、小売電気事業者しか参加が認められていない「非化石価値取引市場」に新しい取引の場をつくり、需要家も参加できるようにする方針だ。
非化石価値取引市場とは、再エネや原子力などの“非”化石電源がもつCO2を排出しないという価値を非化石証書として取引できるようにした仕組みだ。現在、需要家が再エネ価値のある電力を調達するには、小売電気事業者を通して電力と非化石証書をセットで購入するなどしなければならない。
需要家も参加できる新市場
2021年度後半にも試行運用か
新たな市場として検討されているのは「再エネ価値取引市場(仮称)」だ。FITによる非化石証書を対象に、需要家も参加できる市場になるとみられる。なお、現在の非化石価値取引市場は「高度化法義務達成市場(仮称)」として、非FITによる証書の取引に限定して継続される予定だ。
(出典:経済産業省)
欧米では、電力から環境価値を切り離して取引する市場がすでに形成されている。特に、アメリカでは仲介業者の市場参加も認められている。日本もこれにならい、取引をスムーズにするために仲介業者の参加も認める方向で検討が進む見込みだ。
「再エネ価値取引市場(仮称)」は、2021年度後半からトライアルとして運用されるスケジュールが示されている。
DATA
文:山下幸恵(office SOTO)