環境省、2030年に太陽光20GW導入方針。公共・民間・地域の三本柱で
2021/09/08
カーボンニュートラルの実現に向け、2030年の太陽光発電の累積導入量を約88GWとする見通しが示されていた。これに対し各省が取組みの方針を提示し、具体化に向けた議論がスタートした。環境省は2030年までに約20GWを導入する考えを明らかにした。
2030年太陽光88GWの具体策
各省が取組み方針示す
資源エネルギー庁は4月、第31回再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会で2030年における太陽光発電の累積導入量を約88GWとする見通しを示した。これは、2050年カーボンニュートラルを目指す検討を踏まえたもので、発電事業者や事業者団体などによるヒアリングを経て提示された。(参考:SOLAR JOURNAL『太陽光、年間6GW規模に回復へ。資源エネルギー庁が2030年に向けテコ入れ』)
7月6日の第34回同委員会では、この目標値を具体化するための議論が交わされ、農林水産省、国土交通省、環境省が取組みの方針や概要を示した。環境省は(1)公共部門の率先実行、(2)民間企業や住宅での自家消費、(3)地域共生型太陽光発電――の切り口から2030年に合計約20GWを導入するとして、それぞれの導入見通しを示した。
公共・民間・地域の三本柱
ロードマップ踏まえ導入促進
それぞれの導入見通しの考え方は、次の通りだ。
(1)公共部門の率先実行
『地域脱炭素ロードマップ※』を踏まえ、2030年までに国や地方公共団体が保有する建築物の屋根などの約50%に太陽光発電を導入し、6.0GWの導入を目指す
(2)民間企業や住宅での自家消費
再エネ由来の電力100%での事業運営を目指す国際イニシアチブRE100への参加といった脱炭素経営の促進や、発電事業者と需要家が直接電力供給契約を結ぶPPA事業モデル確立のための支援などによって自立的な普及を後押しし、2030年までに少なくとも10GWの導入を目指す
(3)地域共生型太陽光発電
地球温暖化対策推進法(温対法)の改正などを利用し、2030年までに全国の市区町村の60%に相当する約1,000の地方自治体が、公有地や『地域脱炭素ロードマップ』の脱炭素先行地域において4.1GWの導入を目指す
※地域における脱炭素の取組みが課題解決や地方創生につながるとし、脱炭素先行地域を生み出すことで2050年より早いカーボンニュートラルの実現を掲げたロードマップ。
これに対し、委員からは2030年にCO2排出量の削減を46%とする目標に対し、提示された導入量の積み上げでは不十分とする厳しい意見などが挙がった。
DATA
再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会(第34回)
文:山下幸恵(office SOTO)