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改正温対法の「ポジティブゾーニング」とは? 許認可をワンストップとする特例も

「ポジティブゾーニング」とは、自治体が再生可能エネルギーの導入促進区域を設定するもので、改正温対法のポイントのひとつだ。自治体自ら促進区域を定め、地域との円滑な合意形成を図る。同時に、開発に必要な許認可をワンストップとする特例も予定されている。

改正温対法の新たな認定制度
再エネ導入の促進区域を設定する

温対法は、正式名称を「地球温暖化対策の推進に関する法律」という。今年5月に成立した改正温対法では、2050年までの脱炭素社会の実現が基本理念とされている。環境省は、実現に向けた柱のひとつに「地域の脱炭素化に貢献する事業を促進するための計画・認定制度の創設」を挙げた。

この新制度のポイントとなるのが「ポジティブゾーニング」だ。ポジティブゾーニングとは、再生可能エネルギーの導入を促進する区域を設定する取り組みで、次のような考え方だ。

まず、再エネ発電設備の設置に不適当なエリアを除外する。次に、設置が認められる白地なエリア(調整エリア)のうち、積極的に設置を行うエリアを「促進区域」として抽出する。

設置に不適当なエリアは、環境省令や環境配慮基準に基づく区域を想定している。具体的には、絶滅危惧種の生息地や保護地域、居住地域や森林、鳥の営巣地などに近い場合も除外の対象になるとみられる。

円滑な合意形成のための方策
開発事業者にワンストップの特例

環境省がポジティブゾーニングを進める理由には、再エネ発電設備の開発に関して、地域住民との合意形成を円滑にする意図がある。脱炭素社会の実現には太陽光などの再エネ発電設備が不可欠とされるが、これまでの開発によって太陽光発電に懸念をもつ地域住民も存在する。

そこで、市町村などの地方自治体が自らポジティブゾーニングを行い、太陽光発電設備の開発を「促進区域」に誘導する。生態系や居住環境などに配慮しながら、再生可能エネルギーの導入を促進する狙いだ。

また、開発事業者が「促進区域」に発電設備を設置する場合、自治体が事業計画を認定することで、関連する許認可のワンストップサービスを受けられる特例も予定されている。

地方公共団体によるゾーニングという手法は風力発電分野で活用されてきたものだ。環境省は、2016年度から「風力発電等に係るゾーニング導入可能性検討モデル事業」を実施し、翌年度にはマニュアルをとりまとめ、ゾーニングマップの合意形成の手法などを周知している。

DATA

環境省 地域脱炭素に向けた改正地球温暖化対策推進法の施行に関する検討会・地方公共団体実行計画策定・実施マニュアルに関する検討会 合同会合


文:山下幸恵(office SOTO)

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