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出力制御、四国と東北に続き中国エリアでも開始。大型連休にはさらに拡大か

再生可能エネルギーの出力制御が、ついに九州以外のエリアで実施された。4月9〜10日、四国エリアと東北エリアで初の出力制御が行われた。さらに、翌週の17日には中国エリアでも実施され、出力制御が全国に拡大しつつある。

四国と東北も出力制御に踏み切る
翌週末には中国エリアでも実施

4月9日(土)と10日(日)、四国電力エリアと東北電力エリアで出力制御が実施された。九州電力エリア以外で実施されたのはこれが初めてだ。

四国電力送配電の速報によると、9日に実施された再生可能エネルギー出力制御量は15万kW。供給力465万kWに対して、52%を超える245万kWが再生可能エネルギーによるものだったという。制御量15万kWのうち、14万kWが太陽光発電、1万kWが風力発電によるものだった。また、制御量の全量が手動で操作する「オフライン制御」によって行われたという。

東北電力エリアでは、10日に出力制御が実施された。制御量は11万kWで、供給力1,067万kWのうち、約55%にあたる586万kWが再生可能エネルギーだったと速報されている。制御量11万kWの全量がオフライン制御、もしくはオンライン化が間に合わず暫定的にオフライン制御で対応したものだったという。

また、翌週17日には中国電力エリアも実施に踏み切った。制御量は47万kWと、四国・東北エリアの制御量を大きく上回った。中国電力ネットワークは、事前に開催された経済産業省の第38回系統ワーキンググループで、揚水発電所のトラブルや火力発電所の試運転などの影響を受け、「今春の大型連休に出力制御を行う可能性は低い」としたこれまでの見通しを改めていた。

いずれのエリアでも、電力需要が比較的少ない週末に出力制御が実施されている。特に、大規模な工場や事業所などが長期休暇に入る大型連休には、さらに多くのエリアへ実施が広がると予想される。

電力の安定供給のための出力制御
オンライン代理制御で効率化も

そもそも出力制御とは、電力の需要と供給のバランスを維持するために行う。電力需給のバランスが崩れると、最悪の場合にはブラックアウトと呼ばれる大停電に陥る可能性もある。実施にあたっては「優先給電ルール」が定められており、火力発電の出力抑制や揚水発電の活用、ほかの電力エリアへの送電などを経て、再生可能エネルギーの出力制御を行うことになっている。

また、2022年度からの出力制御には、新たに「オンライン代理制御」が導入された。オンライン代理制御とは、出力制御のオンライン化を行っている事業者が、オフライン事業者の代わりに出力制御に対応し、売電金額を事後的に精算する仕組みだ。出力10〜500kW未満のオフライン事業者が対象となり、全体の制御量を低減する効果が期待される。(参考『2022年度からの「オンライン代理制御」で何が変わる? 低圧含め5エリアで開始か』)

DATA

四国電力送配電株式会社:再生可能エネルギーの出力制御の実施について
東北電力ネットワーク株式会社:東北6県・新潟エリアにおける「再生可能エネルギー出力制御」の実施について
中国電力ネットワーク株式会社:本日の再生可能エネルギーの出力制御実績(速報値)について


文:山下幸恵(office SOTO)

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