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4月から非FIT「分割案件」は原則として認可せず。送配電各社が規制強化

非FIT太陽光発電設備に対する「分割案件」の規制が、この4月から強化された。一般送配電事業者10社の供給条件に、特別な事情がないのに高圧の設備を区切って低圧とする申請を認めないことが、新たに加えられた。

「分割案件」でないことが条件に
送配電10社が規制の強化を発表

いわゆる「分割案件」とは、特段の理由なく、本来は高圧の太陽光発電設備を柵や塀で区切り、それぞれを低圧の設備として申請する発電所のことだ。一般送配電事業者10社は4月1日から、非FIT発電設備の供給条件に新たに分割案件ではないことを加えた。これによって、非FIT発電設備の分割案件に対する規制が強化されたといえる。

昨年11月の経済産業省の電力・ガス基本政策小委員会では、非FITの分割案件が急増している状況を指摘していた。2021年6月末には242件(約4万kW)だった分割案件が、わずか2ヶ月後の8月末には713件(約11万kW)に増えたという。同委員会は、こうした状況を問題視し、特別な理由のない分割案件を認可しない方向性を打ち出していた。(参考『太陽光発電所の分割、非FITへも防止措置を拡大へ。背景に今夏の急増』)

低圧の発電設備には、電気主任技術者を選任する義務がない。そのため、保安コスト削減などのために、高圧設備を意図的に低圧設備となるように分割して申請する事案が相次いでいる。

分割案件が抱える問題は、大きく2つ。まず、本来行うべき電気保安が正しく行われないことによる、安全上の問題だ。次に、発電事業者が負担すべき受電設備のコストが一般送配電事業者に転嫁されること。一般送配電事業者のコスト負担が嵩めば、最終的には電気料金の値上げにつながる恐れがある。

再エネの適正管理を徹底する構え
脱炭素に向け拡大との両立が課題

分割案件に関しては、毎年のように規制が強化されている。2021年4月からは、10kW未満の地上設置案件も10kW以上の案件と同様に、分割案件かどうかの審査が行われるようになった。(参考『低圧太陽光の分割審査、10kW未満の地上設置にも拡大へ。資源エネルギー庁が決定』)

また、4月7日に開催された経産省の再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会では、今後の再生可能エネルギー政策の論点の1つに「再エネの事業規律と適正管理の徹底」を挙げた。太陽光発電に関する地域とのトラブルや法令違反の案件などに対して、さらなる対応を検討する姿勢だ。

一方で、脱炭素社会を目指すには太陽光発電の一層の導入・拡大が急務とされる。政府は、第6次エネルギー基本計画で2030年のエネルギーミックス(電源構成)で太陽光の割合を「14〜16%程度」とした。これを容量に換算すると104〜118GWだが、2020年度までの導入量は61.6GWと7.9%に留まる。

DATA

北海道電力ネットワーク株式会社:託送供給等約款の認可について
東北電力ネットワーク株式会社:託送供給等約款の認可について
東京電力パワーグリッド株式会社:「託送供給等約款」の認可について
中部電力パワーグリッド株式会社:託送供給等約款の認可について
北陸電力送配電株式会社:託送供給等約款の認可
関西電力送配電株式会社:託送供給等約款の認可について
中国電力ネットワーク株式会社:託送供給等約款の認可について
四国電力送配電株式会社:託送供給等約款の認可について
九州電力送配電株式会社: 「託送供給等約款」の認可を受けました
沖縄電力株式会社:託送供給等約款の認可について


文:山下幸恵(office SOTO)

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