SPI2015開催!好成長の米国市場を脅かす問題とは?
2015/10/14
まず、「Investment Tax Credit(ITC)」と呼ばれる連邦レベルの投資税控除制度。これまでは、太陽光発電システム設置にかかる投資額の30%を税額控除できたが、この制度が延長されない場合、住宅用については来年末で終了、非住宅用については現在の30%から10%に下がってしまう。市場収縮のインパクトを避けるため、会場では「ITC延長を!」との声が上がっていた。
次に「ネットメータリング」制度。この制度は分散型システムによる”自産自消”を促すものあり、発電量で電力消費量を相殺しながら、余剰発電量を次月に繰り越し、電気料金を削減できる。しかし、太陽光発電の普及が加速する中で、余剰電力の買い取りを義務付けられている電力会社は、現在の買取価格を「小売価格」から「卸売価格」に引き下げる計画をしている。
さらに、太陽光発電の大量導入に伴い、電力系統に電気が逆流するなどという事態が懸念されていることから、系統連系接続を保留する電力会社が出てきている。太陽光発電の発電ピークは昼前後だが、電力需要のピークは午後5過ぎから8時頃に迎えるのだ。供給(発電)と需要にミスマッチが起こると、電力安定供給ができなくなってしまう。
そこで、その解決策として「定置型蓄電池」があげられている。SPIでは、太陽光発電と蓄電池の併用を展示しているところが多く、蓄電池専門セミナーも参加者を沢山集めた。展示場内で、一番大きなブースを構えていた世界最大規模プロジェクトディペロッパーのサンエジソン社も、すでに蓄電池会社を数社買収済みで、太陽光発電産業における蓄電池のこれからの重要さを位置づけた。今後は売電ではなく、デマンドレスポンスまたはシフト用に蓄電池を併用した太陽光発電が伸びるだろう。
画像出所:Steven Purcell for SPI 2015
取材・文/モベヤン・ジュンコ