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早くも出力制御の春 東京電力も実施を検討

今年の春は、太陽の光がひと際まぶしく感じるのは自分だけだろうか? 全国各地で青空が広がった3月11日(土)に、東北電力と四国電力が今年初の再エネの出力制御を実施した。東京電力も当初の予定より1年早く来年度から暫定的な実施を検討している。

暫定的な
制御方法を説明

東京電力パワーグリッド(東電PG)は2月28日、経済産業省の有識者会議(総合資源エネルギー調査会・新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループ)で、出力制御を実施する場合の具体的な手順を報告した。東電PGは、2024年度の実施を想定して専用のシステム開発の準備を進めていた。会議では、2023年度の段階では再エネ電源の出力制御についてシステム対応ができないため、今年5月の大型連休中に出力制御が必要になることを想定し、暫定的な出力制御の方法を示した。

※需給バランスについては2023年1月31日時点の数値(出典 東京電力パワーグリッド)

2023年度のゴールデンウイーク期間中については「東京エリアにおける需給バランス想定は、現時点では一定程度の下げ代余力確保の見込み」とし、出力制御を回避できるとの見通しを示す一方で、「通常を超える稀頻度の設備トラブルによる供給力余剰発生のリスクに備え、保険的な位置付けとして、再エネ電源の出力制御の準備をする」と説明した。

出力制御システムがない中での暫定的な手法として東京電力PGは、「実運用面を考慮し、設備規模の大きい特別高圧受電の事業者などの太陽光発電事業者を制御対象とする」「制御対象のなかにおいて、可能な限り出力制御の機会が均等となるように配慮する」「2023年度に出力制御を実施した事業者について、2024年度は制御順位を後順位にするなどして、長期的な視点からも公平性に配慮する」としている。
東京電力のエリアは、他のエリアに比べて電力需要が大きいため、これまでは再エネの出力制御を実施する可能性が低かった。しかし、再エネ出力比率の拡大や系統混雑などをうけて、東京電力PGは2021年9月から「新ルール(制御対象)」適用の発電事業者に対して、出力制御ユニットなどの設置を呼びかけている。

5月の大型連休は
多くのエリアで実施か

3月11日には東北電力でも出力制御を実施

出力制御は、電力の需要と供給のバランスを維持することが目的。実施にあたっては「優先給電ルール」が定められており、火力発電の出力抑制や揚水発電の活用、ほかの電力エリアへの送電などを経て、再エネの出力制御を行うことになっている。出力制御は、電力需要が比較的少ない週末に実施されるケースが多い。大規模な工場や事業所などが長期休暇に入る5月の大型連休には、多くのエリアで実施される可能性がある。

出力制御は、2018年に九州電力管内で離島以外では初めて実施された。その後、北海道、東北、中国、四国、沖縄電力管内でも実施されている。全国的に好天となった3月11日(土)には四国電力が約10カ月ぶりに出力制御を実施したほか、寒冷地をエリアとする東北電力でも今年初の出力制御を実施した。太陽光や風力などの再エネ電力を最大限有効に活用するためには、大容量蓄電システムの導入拡大と効率的な運用を急ぐ必要がある。

DATA

東京電力パワーグリッド 再生可能エネルギーの出力制御に係る運用の基本的な考え方について


取材・文/高橋健一

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