政策・制度

自己託送の新規受付を当面停止。「再エネ賦課金逃れ」防止で要件を厳格化へ

経済産業省・資源エネルギー庁は、近年、本来の制度趣旨から外れた自己託送が増加しているとして、2024年1月1日から当面の間、自己託送の新規受付を停止する考えを明らかにした。

2024年1月から新規受付停止
ガイドラインの改正施行まで

資源エネルギー庁は、2023年12月26日に開催した電力・ガス基本政策小委員会で、制度の趣旨に反する自己託送が増えていることを踏まえ、「自己託送に係る指針」を改正し、要件を厳格化することを決めた。また、2024年1月1日から同指針が改正施行されるまでの間、自己託送の接続供給契約の新規申し込み受付を停止するとしている。

その背景には、再エネ電気を調達するニーズの高まりや、再エネ賦課金が課されないという自己託送の仕組みに着目して、自己託送を積極的に活用する事例が増加したことがあるという。中には、他者が開発・設置した発電設備をリース契約などで借り受けたり、自己託送で送電した電気を他者のテナントに融通したりするなど、自己託送の趣旨にそぐわないケースがあるとしている。

自己託送の要件を厳格化へ
資源エネルギー庁が4案を提示

本来、自己託送は、自家発自家消費の延長として設けられた制度だ。有識者の間では、再エネ賦課金が課されないという点に着目して、制度の趣旨にそぐわない自己託送の事例が増えると、国民負担の公平性が確保されないのではないかと深刻な懸念を示す声もあったという。

資源エネルギー庁は今回、自己託送の要件を厳格化するため、次の4つの案を示した。

案①:他者が開発・設置した発電設備の貸与を受け、需要家が名義上の管理責任者になるなどの場合、自己託送の対象外にする

案②:発電設備の維持・運用などに関する主たる業務を外部委託している場合、自己託送の対象外にする

案③:自家消費分を除いた余剰電力分を送電する場合のみ、自己託送の対象とする

案④:需要地内で他者に電気を共有する場合、他者との間に資本関係などの「密接な関係」があることを要件に盛り込む

短期的には、案①④の検討を進め、案②③についても今後、議論を深めていくという。

要件緩和から一転して厳格化
脱炭素化や地方創生に懸念の声も

自己託送は、敷地外にある自社発電所の電気を活用するための制度として整備されたため、発電設備と需要地は、同一の会社であること、もしくは子会社など資本関係のある「密接な関係」をもつことが自己託送の要件とされていた。

しかし、2021年11月に自己託送の要件が一部緩和され、資本関係がなくても、組合を設立して一定の要件を満たすことで「密接な関係」をもつとみなし、第三者間での自己託送が認められるようになった。資源エネルギー庁は今回、要件緩和から一転して、厳格化する方向性を示した。

委員会の出席者からは、本来の制度の趣旨に合致した自己託送や、自治体のごみ発電などでエネルギーの地産地消を実現するために自己託送を行うケースもあるため、脱炭素化や地方創生の動きを止めないように配慮してほしいなどの意見が挙がった。

DATA

第68回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会


文:山下幸恵(office SOTO)

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