東京都の2024年度予算案 次世代太陽電池やアグリゲーションビジネスを支援
2024/03/25
東京都の2024年度当初予算案は、再生可能エネルギーなどの拡充に1970億円と、前年度の2倍以上の事業費を計上している。ペロブスカイト太陽電池やアグリゲーションビジネスの普及を支援する。
1. 都市力を磨き抜く大胆な施策展開が目標
2. 脱炭素化事業費を1000億円以上増額
3. アグリゲーションビジネスのシステム構築や普及を支援
都市力を磨き抜く
大胆な施策展開が目標
2024年度当初予算案の概要(出典 東京都)
東京都の2024年度当初予算案は、一般会計の総額が8兆4530億円で、「都市力を磨き抜く大胆な施策展開」をキャッチフレースに前年度を5.1%上回る積極予算となっている。小池知事は、「100年先も安心安全の東京を目指す」として、都市強靱化や脱炭素化に重点を置いている。
2050年に向けて
4つの重点施策
脱炭素化事業の重点施策(出典 東京都)
東京都では、2050年のゼロエミッション東京の実現に向け、①再生可能エネルギーの実装加速化、②省エネルギーの最大化、③ZEV(温室効果ガスを排出しない自動車)の普及促進、④水素エネルギーの社会実装に向けて取り組みを加速の4つの柱を掲げている。
脱炭素化事業費を
1000億円以上増額
脱炭素化に向けての主要事業(出典 東京都)
2024年度の当初予算案には、脱炭素化を加速する費用として2228億円を計上している。このうち、再生可能エネルギーなどの拡充に1970億円と、前年度から1000億円以上増額している。
主な事業は、「ペロブスカイト太陽電池社会実装推進事業」に1億円。これは、ペロブスカイト太陽電池の早期実用化に向け、開発事業者を後押しし、社会実装を加速化する。「次世代再生可能エネルギー技術社会実装推進事業」に4億円。これは、次世代再生可能エネルギー技術の早期実用化に向け、開発事業者を後押しし、社会実装を加速
する。
「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」に696億円。都内住宅の断熱性向上や太陽光発電設備などの設置を進め、省エネで、災害にも強く、健康にも資する断熱・太陽光住宅の普及拡大を促進する。「蓄熱槽などを活用したエネルギーマネジメント推進事業」に6億円。これは、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入や蓄熱槽などのエネルギー貯留設備の改修を支援する。
アグリゲーションビジネスの
システム構築や普及を支援
アグリゲーションビジネスは、太陽光発電や蓄電池など小規模な分散電源が電力系統に増加してきたことに伴い、それぞれの電源をIoTなどで統合制御することで、あたかも巨大な発電所が稼働するように制御して、電力を売買することで利益を上げるビジネスである。その際、主役となるアグリゲーターは、小規模の分散電源を電力需要に合わせて引き出したり、抑制したりする制御を行う。
脱炭素化を加速する事業の一環として「アグリゲーションビジネス実装事業」には3億円を計上している。これは,家庭の蓄電池などの遠隔制御によりエネルギーの需給をコントロールするビジネスの確立に向け、事業者のシステム構築などを支援する。「蓄電池などの分散型エネルギーリソースを活用したアグリゲーションビジネス支援事業」に23億円。これは、蓄電池や太陽光発電設備などの分散型電源の導入などを支援することで、アグリゲーションビジネスの普及を後押しする。
水素の社会実装へ
203億円を計上
水素取引所のイメージ(出典 東京都)
水素エネルギーの社会実装に向けた取り組みを加速する事業には203億円と前年度から8割増額している。このうち、再生可能エネルギーを活用する「グリーン水素の製造・利活用事業」には30億円。これは、臨海部の都有地でグリーン水素を製造するための施設を整備する。そのうえで、今後海外からの水素を受け入れる場合のパイプラインなどのサプライチェーンに関する調査を行うとともに、供給体制構築に向けたコンソーシアムを設置する。さらに、「グリーン水素取引所の立ち上げに向けた取り組み」に3億円を計上し、水素取引所の立ち上げに向けた制度設計とトライアル取引を実施する。
東京都の2024年度当初予算案は、3月28日の都議会本会議で採決が行われ可決成立した。
DATA
取材・文/高橋健一
4月23日(火)に開催する「第29回PVビジネスセミナー」では、東京都産業・エネルギー政策部の事業者エネルギー推進課長の遠藤 洋明氏が「太陽光発電と蓄電池の導入による事業者のカーボンニュートラル推進に向けた東京都の取り組み」について講演します。
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