政策・制度

電力先物取引とスポット市場が東京商品取引所に一本化へ。2025年以降

経済産業省は3月26日、有識者会議を開催して、東京商品取引所(TOCOM)と日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場とを連携し、先物と現物の発注を一本化する考えを示した。電力の先物取引の利便性を高める仕組みを創設し、市場の活性化を狙う。

<目次>
1. 電力先物と電力現物の取引 市場管理者がそれぞれ異なる
2. 発注先をTOCOMへ一本化 電気の価格ヘッジをしやすく

 

電力先物と電力現物の取引
市場管理者がそれぞれ異なる

そもそも、電力先物とは、電気そのものを取引の対象とするのではなく、翌日の電気の取引を行う日本卸電力取引所(JEPX)の「スポット市場」の価格を取引対象とするものだ。最大2年先の市場価格を取引でき、6ヶ月や9ヶ月など、期間を柔軟に選択して取引できる。東京商品取引所(TOCOM)は2019年9月に電力先物取引を開始した。

一方で、JEPXのスポット市場は、翌日の電気そのものを取引する。電力先物と比べて取引の期間が短期的であることが特徴。スポット市場は、大手電力会社や新電力の多くが活用するJEPXの主要な市場だ。JEPXが電力取引を開始した2005年から運用されている。

発注先をTOCOMへ一本化
電気の価格ヘッジをしやすく

(JEPXスポット取引とTOCOM先物取引の連携サービス(JJ-Link)。出典:経済産業省)

現在、電力先物はTOCOMで、電力現物はJEPXにおいて取引されている。そのため、小売電気事業者はそれぞれの市場に別々に注文を出している。3月26日の「電力先物の活性化に向けた検討会」では、これらの発注先を2025年以降、TOCOMに一本化する考えが示された。両者の連携サービスの名称は「JJ-Link(仮称)」とされ、2024年秋ごろから段階的に開始される見通しだ。

TOCOMとJEPXが連携を強化することで、先物と現物の結び付きが証明され、取引価格の透明性が向上する。それによって、先物取引の流動性が高まると期待される。また、小売電気事業者は、中長期〜短期における電気の取引価格をヘッジしやすくなるとしている。

DATA

経済産業省・第4回電力先物の活性化に向けた検討会


文:山下幸恵(office SOTO)

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