政策・制度

【総務省が注意喚起】太陽光発電システムの不要電波による無線通信の妨害が約100件

太陽光発電システムの普及に伴い、太陽光発電システムからの不要な電波発射が無線設備に障害を与えた事例の報告が相次いでいる。そのため総務省は、関連団体への周知及び対応検討を求める依頼を行った。

大規模な発電所施設に限らず
住宅用システムも障害の原因

近年の太陽光発電システムの普及に伴い、太陽光発電システムからの不要電波が地方公共団体の防災行政無線や消防・救急デジタル無線等に障害を与えた事例が相次いで報告されている。令和元年以降に総務省が把握しているのは、太陽光発電システムが原因として疑わしい事例も含めると約100件。大規模な太陽光発電所に限らず、住宅用の太陽光発電システムを構成する一部機器が地方公共団体の防災行政無線や消防・救急デジタル無線等の人命に関わる無線設備に障害を与えた事例も多い。無線設備に重大かつ継続的な障害を与えた場合には、電波法第101条において準用する同法第82条第1項に基づく障害除去命令の対象となり、工事が必要となる場合もあるので注意が必要だ。

2つの事例を紹介しよう。

【事例1】

約770m離れた太陽光発電所からの不要電波によって、漁業指導用の無線局において通信にノイズが入り受信できなくなった。不要電波を発している系統を特定し、EMIフィルタを挿入することで障害は解消した。

【事例2】

約150m離れた家庭用太陽光発電システムからの不要電波によって、放送受信所において通信にノイズが入るようになった。家庭用太陽光発電システムのパワコンの直流線に高周波のフェライトコアを挿入したところ、放射ノイズが低減され、放送受信所への影響はなくなった。

出典 総務省

影響を低減する施工の実施
障害の除去が具体的な対策

こうした状況を受けて総務省は、一般社団法人日本電機工業会、及び一般社団法人太陽光発電協会に対して「太陽光発電システムからの不要な電波発射が無線設備に障害を与えるおそれがあることについて関連企業等(関連機器メーカ、ハウスメーカ、工務店)へ周知し、無線通信への影響を低減させる措置を検討するように」と5月14日に文章で依頼した。

通知文章の中で総務省は以下のような具体策を挙げている。
1:不要発射が少ないと見込まれる装置(例えば、CISPR11 第6.2版の基準に整合していることの認証を受けた装置)を選定
2:電力線の遮蔽を行うなどの無線通信への影響を低減する施工の実施
3:無線設備に障害を与えた場合、ノイズフィルタを挿入する等の障害の除去
4:無線通信への影響の少ない製品の開発推進や影響を低減する施工方法を当該メーカに周知

総務省も周知啓発に注力していく。例えば、太陽光発電システムからの不要な電波発射に関する国際規格(CISPR 11「工業・科学及び医療用装置からの妨害波の許容値及び測定法」)を国内制度へ反映したり、HPで情報を発信したりする予定としている。

DATA

引用元:
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban16_02000336.html
https://www.tele.soumu.go.jp/j/ele/pvsystem/index.htm

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