【静岡・愛知で急増】警視庁・千葉県警が語る太陽光盗難「警戒が手薄な地方に流動している」

2025年に施行された金属盗防止法。関東を中心に被害は減少しているものの、一見あたりの被害額や規模は拡大しているのが現状だ。本記事では5月20日に開催されたシン盗難対策セミナーに登壇した警視庁・千葉県警の講演を総まとめ。「明日は我が身」となり得る盗難被害について、今何が起きているか把握し対処しよう。

アイキャッチ写真 ©Zenzeta/Shutterstock.com

 

静岡・愛知では大きく増加
警戒が手薄な地方に流動している【警視庁】

 



警察庁 生活安全局生活安全企画課
課長補佐 石垣 光 氏

 
金属盗難は年々増加傾向であり、警察庁としても注視している。令和2年から金属盗の認知件数を集計開始したなかで、令和6年が被害件数、被害総額共にピークに達する。その実数は、認知件数が2万701件と令和2年の約4倍、被害総額が約140億円と窃盗全体の約2割を占めていた。

しかし、関係各所が防犯対策を講じ、令和7年には認知件数が1万5712件と大幅に減少、被害総額も約22億円と令和6年の約142億円から約4割減少した。

被害発生場所で最も多いのは太陽光発電施設である。同施設の発生件数は集計を開始した令和6年は6961件発生しており、工事現場の約2・3倍の発生件数と非常に多いことがわかる。令和7年には3609件と約半減したものの、依然として被害が多いことには変わらない。


金属盗の発生状況(都道府県別)

次にエリア別状況を見ると、最も多いのが茨城県、次いで千葉県、愛知県、静岡県である。これまでは北関東圏での窃盗が多かったが、令和7年には大幅に減少。他方、神奈川県のほか、愛知県や静岡県といった中部エリアが増加傾向にある。これは北関東地区の事業者が防犯対策に取り組んだ結果、犯人グループが警戒の手薄な場所に狙いをシフトしたことを示唆している。特に愛知県と静岡県が顕著であり、愛知県は前年871件に対し、令和7年は1135件と約1.3倍、静岡県は前年473件だったのに対して、令和7年は1018件と倍以上増加している。

これまで太陽光発電設備からの金属盗が増加し、損失が大きかった。物質的な窃盗の被害だけではなく、同設備の被害により長期間にわたる発電停止による経済的損失も発生していたためだ。

警察庁としても更なる強化に励んでいる。盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律が令和7年から順次施行。令和7年9月には犯行用具規制、盗難の防止に関する情報の周知、さらに令和8年6月には特定金属くず買受業に係る措置が施行された。しかし被害が鎮静したエリアがある一方で、新たに拡大しているエリアもあることから、予断を許さない状況だということを肝に銘じておきたいところだ。

 

令和7年中は減少も
26年度は増加傾向【千葉県警】

 



千葉県警察本部 生活安全部生活安全総務課
犯罪抑止対策第一補佐 富永康弘 氏

 
これまで太陽光発電設備からの金属盗が増加し、損失が大きかった。物質的な窃盗の被害だけではなく、同設備の被害により長期間にわたる発電停止による経済的損失も発生していたためだ。

警察庁としても更なる強化に励んでいる。盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律が令和7年から順次施行。令和7年9月には犯行用具規制、盗難の防止に関する情報の周知、さらに令和8年6月には特定金属くず買受業に係る措置が施行された。しかし被害が鎮静したエリアがある一方で、新たに拡大しているエリアもあることから、予断を許さない状況だということを肝に銘じておきたいところだ。


千葉県内における金属盗の発生状況】

千葉県における金属盗の発生状況は、統計を開始した令和2年から令和6年をピークに年々増加、令和6年の認知件数は2001件と全国ワースト2位で、被害総額は117億6021万円にのぼった。

県警は、金属盗の大幅な増加を受け、関係機関・団体と連携しながら各種の防犯対策を進めた。盗品の流通防止対策としては、令和7年1月に千葉県特定金属類取扱業の規制に関する条例が施行された。この条例は、県内における金属類の盗難被害が急増している現状を踏まえ、県内の被害実態から、電線、グレーチング、マンホールの蓋、敷板、足場板等の金属製の物品(古物営業法に規定する古物を除く。)を特定金属類とし、これを売買等する営業である特定金属類取扱業について必要な規制が定められ、これに違反した場合の罰則等も制定された。

防犯対策として、金属盗被害の約7割が太陽光発電施設における被害となるため、施設管理者等に対し、「防犯カメラ、センサーライト、警報装置の設置」「多言語による警告看板の設置」などの複数の対策が有効であること、複数の防犯対策を講じていただくなど、金属盗の盗難防止対策の徹底が求められている。

 

令和8年 盗難まとめ

・POINT 01 被害拡大中:警戒が手薄な地方へ

・POINT 02 2026年度は増加傾向にある

・POINT 03 犯罪の高度化:匿流による被害の高度化

金属盗の被害は深刻なものであり、特にロシア・ウクライナ戦争以降、金属の価格が大幅に高騰したこと、また銅の世界的な需要増や供給不足などがあり窃盗につながっている。

令和7年は各対策が効果を出していることから被害全体の件数は減少にあるものの、警戒が手薄なエリアへと被害エリアが拡大している。犯罪グループは実に巧妙であり、中には匿名・流動型~反復犯行をし続けているグループも存在している。今後も虎視眈々と発電地に狙いを定めてくるだろう。

実際、令和8年に入り昨年比で発生件数が再び増加傾向にある。新たな被害場所としては屋根上・水上などがあげられており「まさか」という場所も標的になっている。それほどに執拗で細やかなポイントを狙っている。まさにプロ集団の行いと言える。

これまでのように警察による太陽光発電事業者や、施設管理者に対する犯罪発生状況の情報提供及び防犯対策に関する助言指導、そして防犯カメラといった防犯機器の設置促進など、複合的な対策が大切だ。

そして金属盗対策法が施行されたからといって安心し切ることなかれ。私たちの行いとして最も大切なことは、様々な被害防止対策を打ち続けることである。窃盗犯はあなたのそばに潜んでいる。365日どこかから狙いを定め、隙を狙って忍び込んでくる行為に終わりがない。だからこそ、安穏とせず常に対策を打ち続けていきたいところだ。

 

DATA

取材・文/永見 薫

【SOLAR JOURNAL vol.58】より転載

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