蓄電システムの導入で「リアルRE100」へ。自家消費とBCP対策の最適解を求めて
2024/05/07
昨年8月、新工場の稼働に合わせてファーウェイの産業用蓄電池を導入した鶴田電機。運用開始から9ヵ月を経て、その効果と課題をどう感じているのか? リアルRE100の実現を目指す同社社長 鶴田潤氏に、工場・自家消費の現実を聞いた。
メイン画像:142.3kWの太陽光パネルを設置した鶴田電機の新工場建屋
1. 再エネ100%を2030年までに
2. 新工場での自家消費実績
3. 自社開発の蓄電システム切替盤とファーウェイの蓄電池
4. 太陽光発電+蓄電システムにより消費電力を賄う
5. 分散型システムならではの圧倒的な信頼性と安全性
6. LUNA2000-200KWH-2H1の安全性は工場経営の大きな味方
7. 能登半島での復旧支援想いを一つに明日のために
本当の再エネ100%を
2030年までに実現
鶴田電機では、「TSURUTA Project/RE100」を策定し、2030年までにCO2排出をゼロにすることを目指している。同社が追求するのは、再エネ電力購入や再エネ証書に頼らない“リアルRE100”の実現だ。この目標に向けて、早くから本社工場や事務所の屋根に太陽光パネルを設置し、昨年は駐車場に約50台が停められるソーラーカーポートを新設するなど、再エネ導入を進めてきた。産業用蓄電池についても4年前から運用し続けている。
同社は、電源トランスをはじめ、太陽光/蓄電システム関連機器のフロントランナーだ。代表取締役社長の鶴田潤氏は、「自社で率先して自家消費型太陽光発電システムを取り入れることで、お客様や社会に向けて、その効果と意義を実証していきたい」と話す。
新工場での自家消費実績
電気代削減効果は絶大
142.3kWの太陽光パネルを設置した鶴田電機の新工場内部の様子。
昨年8月より稼働する新工場は、自家消費用トランスや半導体製造装置向けパワーボックス等の組立工程を担う。ここでは屋根上に太陽光パネル(DC142.3kW)を敷き詰め、併せて蓄電池を効率的に運用することで高い自家消費率を可能としている。同社が採用した蓄電池は、定格容量193.5kWhのファーウェイ中規模産業用蓄電システム「LUNA 2000-200KWH-2H1」だ。
このソリューションによる効果は顕著で、「エアコンがフル稼働していた真夏の一日(2023年8月10日)をとってみても、消費電力に占める再エネの割合は約95%に達していた」という。CO2排出削減はもちろん、電気代削減効果も絶大だ。仮に天気が悪い日でも、蓄電池にためておいた電気を使えるので、最大デマンド値を大幅に抑えることができる。
自社開発の蓄電システム切替盤と
ファーウェイの蓄電池を連携して最適運用を実現
鶴田電機は、産業用蓄電システム向けに特化した切替盤「OFGSseries」(写真中央)を開発。新工場ではファーウェイの中規模産業用蓄電システム「LUNA2000-200KWH-2H1」(写真右)と連携し、平常時・停電時ともに、そのポテンシャルを最大限活用することを可能にしている。OFGS seriesは、三相トランス・スコットトランス・保護機器・制御機器をオールインワンパッケージ化し、設計・施工の簡素化も実現した。
鶴田電機株式会社
代表取締役社長
鶴田潤氏
太陽光発電+蓄電システムにより
消費電力を賄う。CO2削減効果も絶大
142.3kWの太陽光パネルと、193.5kWhの中規模産業用蓄電システム「LUNA2000-200KWH-2H1」により、新工場は極めて高い自家消費率を実現。主要な電力消費であるエアコンがフル稼働していた夏の一日(2023年8月10日)をみても、再エネ比率は94.8%に達し、購入電力は5.2%に抑えられている。CO2削減効果は、同8月の1ヵ月間で29.12t。太陽光発電だけの場合と比べて、蓄電池があることにより、CO2削減効果は約3割はアップした。
分散型システムならではの
圧倒的な信頼性と安全性
鶴田氏は、「LUNA 2000-200KWH-2H1」ならではの魅力を次のように語る。
「この蓄電システムは、1つの筐体に12基のバッテリーパックが納められており、それぞれにバッテリーオプティマイザーが内蔵された分散型システムになっています。そのため1基のバッテリーパックに不具合が生じても、他のバッテリーパックへの影響がなく、高い稼働率を維持することができます。故障してもモジュラー交換だけで済むので、完全回復までの時間もかかりません。もっとも、導入以来トラブルは生じていませんが、万一の際にも生産を止めるわけにはいかない工場にとって、それは大きな安心材料です。
また、安全性の高さも他社の蓄電池を凌駕するものと感じています。最近、蓄電池の火災事故がニュースになりましたが、何重もの安全設計が施されたファーウェイの蓄電システムなら、火災のリスクは極めて低いと言えるでしょう。設置の際も、アーク放電による短絡事故が起きない設計になっているので、危険を感じることなく作業することができました」。
一方で、課題として「災害時の自立運転への切り替えを手動で行わなければならない」ことを挙げる。ただし、ファーウェイはすでに自動切り替えを可能にするソフトを開発しており、現在、鶴田電機でも検証を行っているところだという。
LUNA2000-200KWH-2H1の
安全性は工場経営の大きな味方
ファーウェイは、多面的な安全設計により、蓄電システムの安全性をこれまでにない高みに引き上げている。まず「設備の安全設計」として、4つの安全保護(セルレベルの監視+電池パックレベルの分離+ラックでの電池管理+システム全体管理)による多重レベルアクティブ切断および瞬時の運転停止を実現。また「資産の安全設計」として、マルチ環境検出器+アクティブ排気システム+アクティブ火災抑制モジュールを装備する。
さらに「人身の安全設計」として、セーフティ解放弁(爆発放散口)を上部に設け、予め設定された破裂圧力において破裂開口する仕組みを採用。万一の爆発時には、前方ではなく上部から圧力を解放することで、人的被害の最小化を図っている。また、筐体の板厚は2.5㎜以上あり、正面扉には5箇所の扉ロックが設置されている。
能登半島での復旧支援
想いを一つに明日のために
鶴田氏は、脱炭素とともに、BCP対策に大きな関心を寄せている。それは今年1月、災害復旧支援のために能登半島に出向き、いっそう強い想いになったという。BCP対策用蓄電池としてファーウェイ製品を評価するとともに、蓄電池の可能性をさらに広げるべく、幅広いソリューションを提供する新会社「B-INNOVATION」も設立した。災害時の対応を体験できるワークシップ「蓄電池塾(仮)」の開催も企画している。
鶴田電機では、今後も、隣接地等への太陽光発電設備の増設やファーウェイ製蓄電システムの追加導入を図っていく考えだ。そして、多くの人たちに、見学に来てほしいと呼びかける。
「能登半島での経験を通して、蓄電池の重要性と、激甚災害にあっても機能させ続けることの難しさを再認識しました。被災された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、蓄電システムに関する正しい知識を一人でも多くの方々と共有していきたいと願っています」(鶴田氏)
問い合わせ
華為技術日本株式会社/ファーウェイ・ジャパン
東京都千代田区大手町1-5-1 大手町
ファーストスクエアウエストタワー12F
TEL:03-6266-8051
取材協力(HUAWEI製品採用企業)
鶴田電機株式会社
茨城県古河市下大野1793-1
TEL:0280-92-5225
取材・文・写真:廣町公則
SOLAR JOURNAL vol.49(2024年春号)より転載
Sponsored by 華為技術日本株式会社/ファーウェイ・ジャパン