脱炭素

トヨタの「おうち給電システム」、クルマからの給電で約4.5日分の電気を自給

トヨタ自動車がついに、家庭用蓄電池システムを発売した。最大の特色は「住宅とクルマとの連携」だ。災害などの停電時には、電動車から住宅へ電力を供給できる全負荷型のバックアップ電源としても役立つ。

(『おうち給電システム』の設置イメージ。アイキャッチ画像出典:トヨタ自動車株式会社)

蓄電池とクルマのダブルで給電
停電時には大容量バックアップに

トヨタ自動車が、長年にわたる電動車の開発で培った電池技術を応用し、家庭用蓄電池システム「おうち給電システム」を発売した。6月から予約を開始し、8月からハウスメーカーや総合施工会社を通じて国内で販売している。

(『おうち給電システム』の構成図。出典:トヨタ自動車株式会社)

「おうち給電システム」を構成するのは、蓄電ユニット、ハイブリッドパワコン、DCDCコンバータ、車両給電アダプタの4点。蓄電ユニットは定格容量8.7kWh、定格出力5.5kWだ。太陽光発電システムと連携することで、再生可能エネルギーの利用を促進する。また、車両給電アダプタによって、プラグインハイブリッド車など電動車のAC100Vコンセントから住宅へ給電できるという。

これによって、災害などの停電時には「おうち給電システム」が強力なバックアップ電源となる。もちろん、家庭用蓄電池のみでもバックアップになりうるが、電動車のバッテリーも活用できるようになることで、さらに多くの電力をまかなうことができる。万が一、停電時間が長引いても電力を使い続けることができるというわけだ。家庭での1時間あたりの消費電力が400Wでプリウス・プリウスPHVの場合、一般家庭の約4.5日分の電力を供給できるとしている。

運転モードは専用アプリで設定
満を待して家庭用蓄電池へ参入か

トヨタ自動車が示す「おうち給電システム」の利用パターンは以下の4つだ。FIT適用の有無や電気料金メニューによって最適な利用パターンが異なるとしている。

まず、売電を優先する「ノーマルモード」は、FIT期間中で夜間の電気料金が割安な家庭向け。次に、電力会社からの買電量を減らし電力自給率を高める「節エネモード」は、FIT満了後の従量電灯メニューに適しているという。

続いて、割安な深夜電力と太陽光発電で1日2回充電する「スマートモード」は、FIT満了後の夜間電力メニューにおすすめとされ、より買電量を減らすことができる。最後に、停電時に備えた「蓄電モード」では、蓄電池を常に満充電状態で待機させ、停電時には住宅単体へと電気を供給する。

こうした運転モードなどの設定は、専用アプリをダウンロードしたスマートフォンやタブレット端末から操作できる。アプリでは、蓄電量や毎月の電力自給率、売電量なども見える化できるという。

電動車から住宅へ非常時に給電できる「クルマ de 給電」システムに関しては、2020年にトヨタホームが業界に先駆けて販売を始めた。今回、家庭用の定置型蓄電池においては後発となったトヨタだが、どのような反響が得られるのかに注目だ。

DATA

トヨタ自動車株式会社 ニュースリリース


文:山下幸恵(office SOTO)

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