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セマカウ島で実証進む「再エネ・マイクログリッド」とは?

災害のたびに実感させられるエネルギーシステムの脆弱性。「マイクログリッド」は、問題解決の切り札になるか? フランスの重電大手・シュナイダーエレクトリックが、同国エネルギー大手・エンジーとともに展開する、シンガポールの実証プロジェクトを訪ねた。

集中型エネルギーシステムの
脆弱性を補完する

地震等に起因する大規模停電が後を絶たない。一極集中型エネルギーシステムの脆弱性が、改めて問われている。

海外においても、相次ぐ自然災害やテロの脅威などを背景に、エネルギーシステムのレジリエンス(強靭性)は共通の社会的課題ともなっている。

こうした中にあって、いま期待が高まっているのが、分散型電源による地域社会基盤である「マイクログリッド」だ。マイクログリッドとは、文字通り”小さな送配電網”であり、自立分散型の電源と電力の消費者(需要家)をつなぐ比較的小規模なエネルギーネットワークのことを指す。

マイクログリッドは、次の2つに大別される。

①広域の電力系統と連携しながら、エリア内に独自の電力網と発電設備を有し、エリア内の自立的電力運用を可能とする「オングリッド(on-grid)型」のマイクログリッド。一極集中型エネルギーシステムの脆弱性を補完する仕組みとして注目されているものだ。

②電力系統から隔絶された「オフグリッド(off-grid)型」のマイクログリッド。こちらは主に離島や辺境地での活用が期待されるシステムだが、その技術は①の基礎ともなるものだ。

「セマカウ島」で実証進む
再エネ・マイクログリッド

この度、訪問したセマカウ島は、オフグリッド型マイクログリッドの国際実証試験場ともいうべき場所。シンガポール政府が主導して、各国企業の実証プロジェクトを呼び込んでいる。「REIDS(Renewable Energy Integration DemonstratorSingapore)」の名のもとに、セマカウ島には現在、事業者の異なる8つのプロジェクトが進行している。

取材に訪れたシュナイダーエレクトリックとエンジーによるプロジェクト「SPORE(Sustainable Powering of Off-Grid Regions)」も、そのうちの1つ。東南アジア最大規模となる複合型の再生可能エネルギー・マイクログリッドであり、太陽光発電設備、風力発電設備、蓄電システムを備えている。

シンガポール本島の8km南に位置するセマカウ島。ゴミの埋め立て地として使われてきた島だが、近年はマイクログリッドの実証試験場として知られる。「REIDS(Renewable Energy Integration Demonstrator Singapore)」と名付けられたシンガポール政府主導の国際プロジェクトだ。提供:シュナイダーエレクトリック

設備容量はトータルで1MW。主要なイノベーションとしては、水素システム、スマートインバーター、マイクログリッド管理システムを挙げることができる。

水素システムは、太陽光・風力由来の電力を水素に変えて貯蔵し、燃料電池によって再び電力に変換する。水素は保管・運搬が容易であり、さまざまな用途に活用できるため、マイクログリッドの運用にも柔軟性がもたらされるという。

スマートインバーターは、各種発電設備とエネルギー貯蔵装置のベストマッチングを図り、グリッドの安定性向上に貢献する。マイクログリッド管理システムは、発電・蓄電・消費のバランスをリアルタイムで調整するPMSと、中期的なエネルギー需要と発電量を予測・管理するEMSからなり、グリッドの信頼性を高いレベルで確保する。


取材・文・撮影/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.27(2018年秋号)より転載

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