政策・マーケット

電力会社が再エネに注力! 重い腰が上がり始めた背景とは(後編)

今注目されている規制基準の一つ、テロ対策に向けて電力各社は対策を急いでいるが、対策がうまく行ったとしても、大幅なコスト高はまぬかれないだろう。逆に、全ての発電エネルギー源の中で、ダントツに安くなりつつあるのが太陽光なのだ。環境経営コンサルタントの村沢義久氏による連載コラム第9回(後編)。

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原発は超高コスト!?

今注目されている規制基準の一つがテロ対策。規制委員会は今年4月24日「テロ対策を講じていない原子力発電所の運転を停止させる」との方針を発表。九州電力の川内原発1号機(鹿児島薩摩川内市)が2020年3月に運転を停止することになった。5月には同2号機が続く。

テロ対策の不備は川内だけではなく、日本の全原発に共通だ。現在再稼働している5原発、9基も来年3月以降順次停止することになるし、まだ再稼働してないものについては益々難しくなるだろう。電力各社は対策を急いでいるが、対策がうまく行ったとしても、大幅なコスト高はまぬかれない。

筆者は、規制委員会が要求するテロ対策でもまだ不十分と見ている。さらに、避難所の事前準備から廃炉コストの積み立てなどを含めれば、原発は超高コストになり、「経済的な運用は不可能」というのが世界の新常識だ。日本の原発の発電コストについては、政府発表では1kWh当たり10円強ということになっているが、これまで隠されてきたコストを全部入れると、実際には30~40円になると考えている。



ダントツに安い太陽光

逆に、全ての発電エネルギー源の中で、ダントツに安くなりつつあるのが太陽光。事業用太陽光発電の2019年度の買取価格は14円。これで利益を出すためには発電コストは10円を切らねばならないが、多くの事業者がすでに対応済みだ。

しかし、同じ太陽光の中でも、もっと安いのが卒FIT後の家庭用からの電力だ。電力各社が提示している買取価格は7~8.5円。一般消費者が電力会社に支払っている電気料金約30円(基本料金込み)の1/3以下だ。日本もようやく世界標準に近づいてきたわけだ。

日本では、電力会社の送電網の容量を原発向けに確保するために、再エネへの割り当てが制限されている。これが、太陽光発電の普及に対する大きな阻害要因となっている。また、九州電力などでは太陽光発電に対して抑制がかかり始めているが原発が動いていることが一因だ。

太陽光の弱点は夜や悪天候時に発電できないことだが、逆に原発は止めることはもちろん、出力調整も容易ではない。そのために、原発が動く分だけ、再エネは拡大できなくなる。原発は廃止すべき時期になっている。

東電、東北電力の再エネ強化が、その第一歩になることを願う。


プロフィール

環境経営コンサルタント(合同会社 Xパワー代表)

村沢義久


東京大学工学修士。スタンフォード大学MBA。経営コンサルティング会社日本代表、ゴールドマンサックス証券バイスプレジデント(M&A担当)などを歴任の後、2005年から2010年まで東京大学特任教授。2010年から2013年3月まで同大学総長室アドバイザー。2013年4月から2016年3月まで立命館大学大学院客員教授。現在の活動の中心は太陽光発電と電気自動車の推進。Twitterは@murasawa。

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