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監視等委「調整力ガイドライン」見直しへ、逆潮流可能に! 21年にも

電力・ガス取引監視等委員会は11月15日、「調整力公募ガイドライン」の逆潮流アグリゲーションの取扱いを見直す方針を決定した。調整力公募の応札者を増やし、競争促進を目指す方向転換だ。かねてより要望されていた逆潮流が認められれば、多様なビジネスの拡大につながる。

調整力公募は4年目へ
旧一電以外の参加者伸び悩み

電力・ガス取引監視等委員会は、第43回「制度設計専門会合」において、調整力公募ガイドラインにおける逆潮流アグリゲーションの取扱いについて議論を行った。

2016年4月の第2弾改正電気事業法により、高品質の電力を供給するための系統全体の周波数維持等のアンシラリーサービスは、一般送配電事業者が担うものとされた。この改正に伴い、それまで旧一般電気事業者が自社の発電所の出力を増減させることで行っていた調整力は、公平性・透明性確保のために広く一般に公募されることとなった。この調整力公募制度は2017年度分から始まり、現在は4回目となる2020年度の入札が締め切られ、一般送配電各社によって審査中だ。

調整力公募は、要綱が毎年見直されるなど参加要件の緩和が続いているにも関わらず、旧一般電気事業者(旧一電)以外の参加者数はそれほど伸びていない。調整力公募の区分のうち参加要件が比較的軽微な電源I’入札においてですら、旧一電を除く応札者数は、2018年度の46社に対し、2019年度は41社にとどまる。落札容量も2018年度の36.8万kWから2019年度は34.2万kWと伸び悩み、活況とはいいがたい。


分散型の多様なリソース想定
21年ガイドライン改定か

逆潮流とは、発電設備を持つ需要場所において、発電量が自家消費分を超えて余った場合、余剰電力が系統に流れていく状態を指す。電源の分散化が進むにつれ、自家発からだけではなく、太陽光発電の余剰分や蓄電池からの放電など、逆潮流が発生する可能性は高まっている。

しかし、2016年10月に経産省が定めた「一般送配電事業者が行う調整力の公募調達にかかる考え方(調整力ガイドライン)」においては、複数の逆潮流をとりまとめて、つまりアグリゲーションし調整力として契約することは想定されていない。

調整力公募の回を重ねるごとに、公募参加者から「逆潮流アグリゲーションを活用したい」というニーズが高まってきた。家庭用蓄電池やエコキュートなど多様なリソースに対応するため、またコージェネレーションシステム等のさらなる活用のためだ。今回、こうしたニーズの高まりを受け、調整力公募の参加者を増やすため、逆潮流を認める方向に舵を切った格好だ。

10月に開催された、経産省の第10回「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会」では、「電源Ⅰ’に関する公募において、高圧以上のリソースからの逆潮流アグリゲーションが2021年度以降速やかに参入可能となることを目指す」と明記されている。今後は国等での議論が重ねられるが、早期のガイドライン見直しを期待したい。


DATA

電力・ガス取引監視等委員会 制度設計専門会合


文/山下幸恵

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