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電気事業法50年に一度の大改正へ! 配電事業者の免許制には賛否両論

電気事業改正法案が国会へ提出された。災害時の活用や、電力以外のサービスの創出を可能にするなど、さまざまな利点を持つ新法案だが、同時に新たな問題も懸念される。改正法案のメリットと懸念材料とは?

新法案により
電気事業が大変革

電気事業法改正案が2020年2月26日に国会へ提出された。改正案が成立し2022年4月に施行されると、電気事業は50年に一度のパラダイムシフト(構造の大変革)となる。

梶山弘志・経済産業大臣は、「この法案は災害の激甚化、再生可能エネルギーの拡大、中東情勢の緊迫化など、エネルギー政策を取り巻く情勢の変化を踏まえて強靱かつ持続可能な電力供給体制の確立を図るために、災害時連携計画の策定の義務化など実施する。同法案の早期成立に向けて、全力で取り組む」と強調する。

電気事業法改正の目玉は、託送料金制度(送配電線の利用料)の見直しと配電事業者の創設だ。託送料金制度は、収入に上限をかけるがコスト削減できた分がそのまま送配電事業者の利益となる新制度を導入する。

従来の総括原価方式では、総収入と総コストを釣り合うように算定するために、事業者がコスト削減できても成果報酬を事業者に還元しない仕組みだった。

新制度導入は、2020年度の発送電分離により、送配電事業者が独立して事業採算性を高めていく時代になることに合致している改善策だと、有識者からの評価が高い。

再エネ電源を最大限活用できる
災害対応可能に

電気事業法改正により、災害対策として送配電系統網の末端である配電網を独立させて、配電事業への新たな事業者の参入を認めることになる。

現行でも、特定送配電事業者の事業類型が存在するが、自営線敷設を前提としていることや需要家ごとの供給地点を届け出る必要があるなど、コスト面や柔軟性に課題があった。

そこで、配電事業の新たな形態として配電網を運用する新規参入企業が、特定の地域で大手電力会社がすでに整備した配電網や設備を利用できるようにする。

このように、コスト効率化や地域レジリエンス(災害対応強靭化)を向上させる。具体的には、大手電力会社から譲渡または貸与された配電網を維持・運用し、託送供給および電力量調整供給をする事業者を「配電事業者」として位置付ける。

しかし、配電事業者を免許化して導入する際には、消費者に対する最終保障供給や公平性の確保が必要と考えられるなどいろいろな課題がある。それらの詳細制度設計は、改正電気事業法が成立してから経済産業省の有識者会合などで詰めていくという。

議論して制度設計する項目は、ネットワーク利用者間の適正・公平な費用負担や安定供給の確保などの観点から、どのような場合に配電免許の供与を認めるかといった規律や、適切な費用負担のあり方などについてだ。

新たな配電事業の仕組みは、大規模災害の時に主要送電系統網から切り離して、地域内にある再生可能エネルギー発電所や蓄電池、既存の配電網を活用して特定の地域を独立運用するイメージだ。平時は主要送電系統網と接続しておく。

新規参入の配電事業者は、災害時に主要送電系統網から切り離された場合はもちろんのこと、平時で主要送電系統網とつながっている状態でも特定地域の配電網運用を常時することになるという。

制度創設しても
形骸化の懸念

一方で、配電事業者免許制の創設に関する有識者の意見は割れている。免許制の創設により、ある特定地域の配電網の運用が送配電事業者以外にも可能になる。

新制度を支持する大学教授は、「企業や自治体が配電事業に参入できることで、電力以外の新たなサービス創出にむすびつくことを期待できる。IT(情報技術)に強い企業が参入することでエネルギーのデジタル化が促進するなど、さまざまな相乗効果が生まれる」と強調する。

しかし、災害による緊急時に、送電系統網から独立して配電事業者が特定地域を運用するシステムを構築するには、莫大な設備投資がかかる。エネルギー系シンクタンクの所長は、「参入企業がどうやって投資回収して事業を持続可能に続けられるかなどの議論は生煮えのまま制度化される。

地域新電力が小売り事業だけでなく、地域の配電事業も手がけていくのかなど、事業を持続可能に続けられる現実的なイメージが現状では見えてこない。制度を創設しても形骸化するのでは」と警鐘を鳴らす。

賛否両論あるが、企業が新規参入できるようになることは事業の新陳代謝を期待できる。制度が絵に描いた餅にならず、最終的に消費者が恩恵を受けることができるようになるかどうかは、詳細制度の設計次第だ。

あらゆる分野の有識者が、徹底的に議論して制度を実用かつ機能的にしていくかがカギとなる。今後の動向に要注目だ。


取材・文/南野彰

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