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電気保安もパンデミックを想定、人材確保との両輪で見直し進む

昨年11月の中間とりまとめから約4ヶ月ぶり、4回目となる今回の開催。焦点は引き続き、保安人材の確保と保安業務の効率化だ。電気主任技術者の外部委託制度、ドローンなどを用いたスマート保安に加え、第1種電気工事士の取得に必要な経験年数についてもメスが入った。

外部委託の条件に研修受講
経験年数は1~3年短縮か

「検討課題の深堀」としてスポットが当たったのは、電気主任技術者の外部委託契約受託制度についてだ。

外部委託とは、設備の所有者が、社外の有資格者に対し、自社の電気保安業務を委託する制度。高圧・低圧などの設備規模に応じ、3年から5年の実務経験がある資格者に限り、経済産業大臣の承認を経て認められる。

必要な実務経験年数は、軽減の方向だ。高齢化などにより、電気保安の資格者が2030年には少なくとも約2,000人不足すると予想されているためである。
(参照:「経済産業省、「電気保安人材・技術ワーキンググループ」を開催 点数制と外部承認の見直し検討」)

今回は、個人の資格者や電気保安協会等の法人に対して実施したアンケート結果が公表された。



アンケートによると、高圧・低圧などの設備規模に応じた経験年数の差について、「不要」が約7割。研修受講で、1~3年短縮可能とする回答は約8割に上っている。

こうした結果を踏まえ、研修の受講と組み合わせた上で、必要な経験年数を設備規模にかかわらず一律とする方向性が示された。

問われる電気保安のあり方
時代に即した環境整備が急務

台風などの自然災害やパンデミック発生時などに備え、新たな電気保安のあり方として導入が進められているのが、スマート保安だ。これは、既存の技術に加え、IoTやAIなどを活用し、管理レベルを維持したまま業務を高度化する新しい電気保安のあり方。導入のメリットとして、異常検知センサーなどの活用による定期点検の効率化や、点検頻度の見直しなどが期待されている。

業務を効率化すると、有資格者の業務量を増やす余地が生まれ、人材不足解消の一手になるとされる。2019年度の費用対効果の調査結果をもとに、2020年度にはスムーズな導入のための制度を検討するという。

また、特別高圧といった大規模設備の保安を行う第1種電気工事士の資格取得について、見直し案が次の通り示された。「必要な実務経験年数を現状の5年から見直すこと」、「卒業学科による実務経験年数の差をなくすこと」だ。

現在は、電気工学課などの大学・高専の卒業者にのみ、経験年数が3年と緩和され、さらに定期講習のオンラインでの受講も認められている。

電気保安をめぐるさまざまな環境変化に伴い、今後も時代に合った保安のあり方が問われるだろう。


DATA

電気保安人材・技術ワーキンググループ


文:山下幸恵(office SOTO)

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