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新制度導入で太陽光発電の拡大へ! 災害時の電源として、レジリエンスにも貢献

FIT制度の抜本的見直しについて、具体的な制度設計に向けた検討が進んでいる。今後どのような見直しがなされるのか、制度改革を超えて地域に活きる太陽光であるために何をすべきか。太陽光発電協会の鈴木氏に話を聞いた。

FITからFIPへ
制度移行は段階的に

FIT制度の抜本的見直しについては、太陽光発電協会としても、経産省の審議会にオブザーバーとして参加するなど、より良いものにしていけるよう努めています。見直しの内容については、基本的な方向が議論されているところですが、それは決して太陽光発電の導入拡大を抑えようとするものではなく、私どもとしては、この変化を捉え、太陽光発電の価値を改めて広げるきっかけにできればと考えています。

ただ、新制度の導入時期については、市場環境や事業者の育成に関する状況を踏まえて決定する必要があるでしょう。例えば、一定規模より小さい電源は、FIP制度に移行せず、固定価格での買取を維持するなど、市場の状況に応じた段階的な導入を検討してほしいところです。また、FIP制度を導入する際も、電源ごとに市場参照価格を決定するなど、事業者のリスク低減にも配慮していただかなければなりません。


災害時の電源として
レジリエンスにも貢献

経産省は、総合資源エネルギー調査会・再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会を9月に立ち上げ、具体的な制度設計に向けた検討を進めています。大きな方向性としては、再エネを「競争電源」と「地域活用電源」に分け、それそれぞれの電源特性に応じた制度にしていこうという流れがあります。

太陽光発電は、FIT制度から自立し、競争力をもった電源になり得るとともに、地域活用電源としても大きなポテンシャルを秘めています。太陽光発電のさらなる導入拡大に向けては、両面とも重要であることは言うまでもありませんが、昨今の大規模自然災害をみるにつけ、地域活用電源としての役割の大切さを改めて思わざるを得ません。台風15号・19号で被害にあわれた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

太陽光発電は、自立運転が可能であり、地域のレジリエンスにも大きく貢献します。太陽光発電協会では、台風15号によって発生した大規模停電をうけて、千葉県内で太陽光発電設備を設置しているご家庭を対象に「太陽光発電の自立運転機能」の活用に関するヒアリング調査を実施しました。その結果、住宅用太陽光を設置している方は、蓄電池を併設していない場合でも約80%が自立運転機能を利用され、停電時に有効に活用されていたことが分かりました。「近隣の方に、携帯の充電などで貢献できたことが嬉しかった」などの声も多くいただきました。


PROFILE

一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)
事務局長

鈴木 聡氏

1985年鐘淵化学工業株式会社(現 株式会社カネカ)に入社。研究開発部門、知的財産部門、研究企画部門などを経て、2019年6月より現職。


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.31(2019年秋号)より転載

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