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「ノンファーム型接続」とは? 再エネ拡大のカギ握る送電ルール見直し

再エネ発電設備を新たに連系するには、系統側に空き容量があることが必須条件だ。しかし発電事業者からは、空き容量がなく「つなげない」、接続のための費用が「高い」、接続までが「遅い」といった声が聞かれる。こうした課題の解決につながる「ノンファーム型接続」とは?

「日本版コネクト&マネージ」
柔軟なノンファーム型接続

日本の再エネ導入量は、この7年間で約3倍に伸びている。増加率は世界的トップクラスだ。太陽光と風力の接続量・接続申込量は、多くの電力エリアですでに接続可能量を上回り、東京・中部・関西の中三社エリアでも可能量の超過が懸念されている。再エネ導入量の増加スピードに、送電ネットワーク側のルール変更が追いついていない状況だ。(参照『“無制限無補償”ルールが全国で適用、対象拡大し制御機会の低減図る』)

この問題を解決するため、送電線の利用ルールが見直されつつある。導入が検討されている「ノンファーム型接続」とは、電源を新たに系統へ接続する際、空き容量が足りない状況であっても、出力制御などを条件に接続を認める取り組みだ。「想定潮流の合理化」「N-1電制」と並ぶ「日本版コネクト&マネージ」のひとつで、経産省を中心に検討が進められている。送電線の利用ルールなどを見直し、限りある系統容量を有効に活用することで、再エネ接続量の増加を目指す。

現在の送電線の利用ルールは、接続契約の申込み順に容量を確保する「先着優先ルール」だ。公平性・透明性を確保するという観点から、太陽光や風力、火力など全電源共通のルールとされている。接続申込みがあるにも関わらず空き容量がない場合には、増強工事を行う必要がある。

しかし、実は空き容量がないとされる送電線であっても“常に”空きがない訳ではない。送電線を流れる電気の量は常に変動しているからだ。「空き容量がない」という意味は、流れる電力量がもっとも多いピーク時を想定したときに、空き容量がないということだ。

ちなみに「ファーム(firm)」とは、英語で“硬い、堅固な”という意味だ。従来の「ファーム型接続」では、各発電源に割り振られた送電容量は固定されている。“ファームではない”という意味の「ノンファーム型接続」は、実送電量に応じて空き容量が変化する柔軟な送電ルールだといえる。

出力制御を減らせるかが課題
適切な「メリットオーダー」が重要

(出典:経済産業省)

新しい「ノンファーム型接続」は、現行の「先着優先ルール」に比べると、系統の空き容量を柔軟に活用できる。ノンファーム型接続をした電源は、送電線に空き容量があるタイミングで出力をすることができ、送電線が混雑するタイミングには出力制御を受ける。

ノンファーム型接続は、2019年9月から千葉エリア、2020年1月から北東北エリアと鹿島エリアで先行して実施されている。この3エリアは、基幹系統の空き容量不足が顕著なエリアとされている。今後は、2021年中に全国の空き容量のない基幹系統に展開される見込みだ。

一方で、ノンファーム型接続には系統混雑時に多くの出力制御を発生させてしまうのではないかという懸念もある。というのも、混雑時に制御されることを条件に接続するノンファーム型電源は、通常の契約で接続する電源より出力制御される可能性が高いからだ。つまり、ノンファーム型契約の再エネ電源が、通常契約の火力発電より出力制御を受けることになりかねない。

こうした問題をクリアするには、送電線の利用ルールをさらに見直す必要がある。現在、非効率な石炭火力を優先して出力制御できる「メリットオーダー」というルールが検討されているところだ。

DATA

非効率石炭のフェードアウト及び再エネの主力電源化 に向けた検討状況について


文:山下幸恵(office SOTO)

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