編集部からのお知らせ

日本唯一の卸電力取引所「JEPX」とは? 取引価格はどう決まる?

昨年末から高騰が続く日本卸電力取引所(JEPX)。ひと月の電気代が数倍に跳ね上がることなどが懸念され、大きな話題を呼んだ。中には、こうしたニュースでJEPXの存在を知った読者も多いのではないだろうか。JEPXとは何か、取引価格はどのように決まるのかといった仕組みを解説する。

卸電力取引所は日本にひとつ
電力自由化推進のために設立

一般社団法人 日本卸電力取引所(JEPX:Japan Electric Power Exchange)は、日本で唯一の卸電力取引所だ。1990年代から始まった電力システム改革の流れを受けて設立され、2003年の第三次電気事業制度改革のタイミングで本格運用を開始した。会員登録した事業者は入札を通した電気の売買が可能だ。現在、200社を超える電力会社が取引会員になっている(2021年2月1日現在、229社)。

JEPXでは、1日を30分ごとに分割した48コマで入札が実施され、必要な時間帯において取引を行うことができる。取引量は1コマあたり50kWh単位だ。売り手である発電事業者と買い手である発電事業者は、主に「スポット市場」「時間前市場」において入札に参加する。スポット市場とは、翌日に受け渡しする電気を取引する場で「一日前市場」とも呼ばれる。当日の午前10時までに、翌日の電気の売買が可能だ。時間前市場では、当日1時間前まで調達ができる。スポット市場で調達できなかった場合の補完として活用される。


(PR)

応札額非開示の単一価格
参加には資産上の要件も

ブラインド・シングルプライスオークション方式の需給カーブ

「売り」の量と価格、「買い」 の量と価格の線の交点で約定価格と量を決定する(出典:日本卸電力取引所)

JEPXのメインマーケットであるスポット市場(一日前市場)では「ブラインド・シングルプライスオークション」というユニークな仕組みで約定価格が決定される。参加者は、1コマごとに「10円/kWh以上なら500kWh買う」「13円/kWh~15円/kWhの範囲なら20MWh売る」など価格と量を指定できる。こうした価格と量の組み合わせは、最大15パターンまで可能だ。

ブラインド・シングルプライスオークションの「ブラインド」とは、入札の際に他の参加者の提示価格が開示されない状態を指す。シングルプライスオークションでは、売り手と買い手の量と価格の交点が落札価格となる。つまり、入札された価格と量を組み合わせた需給カーブにおいて、需要と供給の交わる点が約定価格となる。例えば、入札価格が10円/kWhであっても、約定価格が15円/kWhとなれば15円/kWhで売買しなければならない。

小売電気事業者は、スポット市場で約定した金額を取引の2営業日後に支払わなければならない。また、1kWhあたり0.03円もしくは1ヶ月あたり100万円の取引手数料が発生する(いずれも消費税別)。そのため、JEPXの会員となるには、純資産額が1,000万円以上などといった要件が設けられている。

DATA

一般社団法人 日本卸電力取引所


文:山下幸恵(office SOTO)

関連記事

2022/08/03 | 編集部からのお知らせ

今、電気料金の「値上げ」を認めるべき理由

2021/03/31 | 編集部からのお知らせ

緊急コラム第三弾「JEPX高騰がもたらしたもの」

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 【 参加受付中!】2024年4月23日(火)「第29回PVビジネスセミナー」~ 市場動向/PPA・蓄電池の最適化モデル ~...
  2. パワーエックス 2024年半ばから水冷蓄電池モジュールの量産化へ
  3. 2024年度の脱炭素ビジネス【発電側課金・脱炭素オークション・非化石価値取引】...
  4. 太陽光パネルの増設・更新を促進! 2024年度にルール見直しへ
  5. 太陽光発電所 銅線ケーブルの盗難被害が相次ぐ 銅の価格上昇が背景に
  6. 新エネ大賞 経産大臣賞はパナソニックHDなど3社が受賞
  7. 太陽光発電所の盗難被害が急増 外国人グループの犯行か
  8. オンライン販売限定で新登場! Bluesun Solarの高出力モジュール
  9. 脱原発完遂のドイツの電源構成、どうなるエネルギー費の再高騰リスク?
  10. グリッドコードとは? 太陽光発電事業者も知っておくべき系統運用の新ルール...
太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.48 | ¥0
2024/01/31発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ